研究課題
平成30年度の計画は、胆嚢がん患者の癌組織中から抽出したDNAを用いてTP53 とK-ras遺伝子変異の解析を行うこと、及び先の研究で得られた8種類の特異蛋白の検証を行うことであった。平成30年度にインド胆嚢がん患者100例の凍結胆嚢組織標本と10例のパラフィン包埋胆嚢組織標本を入手し、DNA抽出後、Exon 5~8のTP53遺伝子変異解析とCodon 12、13、16のK-ras遺伝子変異解析を行った。ほとんどの凍結胆嚢組織標本からのDNA抽出は困難で、抽出されたDNAを用いた増幅もうまくいかなかった。この要因として、組織の凍結融解のために室温保存した間に自己融解がおこったことが考えられた。パラフィン包埋組織標本から抽出したDNAを解析した結果、TP53遺伝子変異は10例中4例(40%)に認められ、変異率はこれまでの報告と同程度であった。変異の内訳は、Transition型が3例、Transversion型が1例であった。今後、パラフィン包埋組織標本を用いた検討が必要であると考えられた。一方、K-ras遺伝子変異は検討した10例の標本には認められなかった。先の研究でチリ胆嚢がん患者のがん組織中から特異的に検出された8種類の蛋白がインド胆嚢がん患者の血清中から検出されるかどうかを検討したが、何れの蛋白も検出されなかった。この要因として、検出感度が問題であったのか、チリとインドでは異なる蛋白質が関与しているのかを明らかにすることはできなかった。今後、標的タンパク質を絞って、さらに最適化した抽出・精製方法を確立することが必要である。3年間の研究により、北インドにおける胆嚢がん発症に腸チフス、パラチフス感染が関与している可能性が示唆された。遺伝要因では、TP53 rs1042522遺伝子多型のGG型を有する人はCC型に比べ2.8倍高いリスクを有することを明らかにした。
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