研究課題/領域番号 |
16K09082
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
川口 和紀 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (00508468)
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研究分担者 |
杉本 恵子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (10440695)
高橋 宏 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (10750581)
刑部 恵介 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (30290167)
山崎 一徳 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (30733399)
鈴木 めぐみ 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (40387676)
北口 暢哉 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (70508077)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 視点計測 / 初期MCI / 軽度認知症 / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
①健常人若年者12名につき、27インチ大のPCモニタ上に描画されたオブジェクトを集中して凝視した際に、オブジェクトからの外れ量と凝視時間を計測しICCヲ算出した結果、被検者内信頼性が良好と判断れているICC(1,1)値として0.7以上が得られた。これらの結果により集中して凝視する際の視点計測システムが妥当であると考えられた。また、視点計測の際に行うキャリブレーションの必要性について検討した結果、予め裸眼または視力矯正(眼鏡)用に用意された補正キャリブレーションセットを用いた検討では、ディスプレーサイズの画面積比で0.23-0.31%であったが、被検者毎にキャリブレーションを行った場合は0.06%であり、被検者毎にキャリブレーションを施行することで、より正確な視点計測が可能であることが示唆された。 ②介護・福祉・医療をテーマに地域住民に対し啓蒙していく地域包括ケア推進を目的としたイベントに参加した健常高齢者(70~80歳台)と思われる32名について、2,3,5,7語の記憶負荷時の視点計測を32名について行い、23名については同時にMMSEを施行した。その後視点計測データを解析し、視点移動度と負荷語数、MMSE、再生正解語数、年齢、性差について解析を行った。その結果、年齢、性差について有意な差は無かった。今回の検討の結果では、記憶負荷増大時(記憶させる語数が多い場合)には視点移動度(視点散布度)は大きくなる傾向がみられ、この傾向は正しく再生されている例でも同様であった。またMMSEとの関係については、MMSEが28点以下の群(n=6)と28点以上の群(n=16)で比較検討したが、有意な差はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常高齢者(70~80歳台)が定期的に集う、カフェやイベント・サークルなどについて研究協力を呼びかけたが、本研究の目的が認知症の検出という課題に対して、施設・運営側から難色を示されるケースが多く、フィールドワークを展開する機会に恵まれず実施時期が大幅に遅れることとなった。しかしながら、名古屋市天白区で2018年11月に行われた「みんなの元気フェスタ」(2017年度まで名称:介護フェスタ)にて、2,3,5,7語の記憶負荷時の視点計測を32名について行い、23名については同時にMMSEを施行した。 視点計測のデータを解析していくうちに以下の予期しない事象が発生した。①被検者が大きく注視点を外れそのまま、視点計測データが得られない(正確には視点検知範囲内に留まっていた状態で取得された最後のデータが、検知範囲外に視点が移動した場合には同じデータが連続する)ため、手作業でこれらのデータを削除する必要が生じた。②視点計測中の被検者の行動(記憶した単語の再生のタイミング)を記録するものは音声の録音データしかないため、これを、解析には視点計測時の2倍以上の解析時間を要することが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
2018年11月に行われた視点計測試験のうち32名の被検者のデータを解析したところ、記憶すべき単語数が増加する(即ち、記憶負荷が増大する)と、垂直方向への視点移動度が大きくなりなる傾向があった。これらの傾向が認知症患者でどのように変化するのかを認知症と診断されMCIのステージとなっている患者を対象に視点計測試験を実施し比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた視点計測装置用に無償提供されていた、解析ソフトが事前の調査時から仕様変更となり有料版となったが、予算内では賄えないことから購入を断念したため、次年度使用額が生じた。解析ソフトの代替として自前によるプログラムと市販アプリケーションにて対応することとした。また、この分の使用計画としては、視点計測と同時に行う記憶再生テストキットで必須となる音声指示再生のため、被験者の周囲が静粛ではない場合にも、イヤフォン・ヘッドフォンなどのように清潔に不特定多数の被験者に使用できないデバイスではなく、肩掛け式のスピーカーを導入する計画とした。
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