研究課題/領域番号 |
16K09087
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
池野 雅裕 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (60612976)
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研究分担者 |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00296188)
永見 慎輔 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60744042)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 鼻咽腔閉鎖機能 / 摂食嚥下障害 / 構音障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,鼻咽腔閉鎖機能の機器による測定方法の確立ならびに簡便な評価法を作成し,健康寿命の延伸に寄与することである.現在の日本は,超高齢社会にあり誤嚥性肺炎により死亡する人数も増加傾向にある.誤嚥性肺炎は,種々の原因により摂食嚥下機能が低下することにより発症するが,摂食嚥下機能の一部に本研究で検討している鼻咽腔閉鎖機能が含まれている.さらには,コミュニケーションに関わる構音機能にも鼻咽腔閉鎖機能が関わっており,鼻咽腔閉鎖機能が障害されることによりコミュニケーションに不自由が生じる.しかしながら,今までは鼻咽腔閉鎖機能を簡便に評価する方法は開発されていなかった. 本研究では,簡便な評価法を開発するにあたり,測定時の姿勢が測定値に及ぼす影響を検討しており,平成28年度は川崎医療福祉大学において予備調査ならびに若年者を対象としたデータ集積を行い,測定姿勢の違いによる鼻咽腔閉鎖機能動態の違いが明らかとなった. 平成29年度は,若年健常者以外の中・高年健常者を対象とした検討を実施した.また,平成29年度の検討結果では,測定角度により影響のみならず,左右を向くことで,測定値に差が出ることも明らかなとなった. 平成30年度は,平成29年度に検討を行う中で明らかとなった測定時の左右差についても検討を加えた.左右差については,一般的に脳卒中などで片麻痺を生じた場合に出現することがあるため,脳卒中後や神経筋疾患のある摂食嚥下障害患者ならびに構音障害患者において測定姿勢に加え,測定姿勢の左右差についても検討を行った.また,左右差の測定については,対象者が片麻痺等を呈していることにより,当初の研究計画におけるデータ収集予定数に達さず,次年度も引き続きデータ収集を継続する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は,研究実施施設である総合病院津山第一病院にて,摂食嚥下障害患者ならびに構音障害患者を対象に鼻音化率の客観的データの収集を実施することを計画し,データ集積を開始したが,意識障害や全身状態の変動,さらには失語症をはじめとした高次脳機能障害を呈していることにより,計画通りのデータ集積数に達することが困難であった. また,平成28年度,29年度の対象者は,若年者および中・高年健常者であったため,研究内容の理解,データ測定方法の理解に困難を示すことは少なかったが,今年度の対象は摂食嚥下障害者,構音障害者のため,一人あたりにかかるデータ収集時間も延長した.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は,平成30年度にデータ収集予定であった摂食嚥下障害患者ならびに構音障害患者を対象としたデータ集積を引き続き継続する予定である.基本的な計画として,摂食嚥下障害者ならびに構音障害者においても,若年健常者,中・高年健常者と同様に,母音と短文の両方のデータ集積をする予定であるが,呈している障害が重度場合や全身状態の変動などにより,被検者自身の安全が保障できない可能性がある場合には,母音のみのデータ集積とする.また,データ集積後は鼻咽腔閉鎖機能評価時に注意すべき測定姿勢ならびに本研究で得られた客観的データから鼻咽腔測定値のカットオフ値を検討し公表する予定である. さらには,開発する評価の実施時には測定姿勢を重要視すべきであるという新知見を含めた情報をもとに研究を継続予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度にデータ集積予定であった摂食嚥下障害患者ならびに構音障害患者は意識障害や全身状態の変動,さらには失語症をはじめとした高次脳機能障害を呈していることにより,計画通りのデータ集積数に達することが困難であったため研究期間の延長申請を行った.これにより平成30年度に検討予定であったカットオフ値の検討ならびにデータ集積を平成31年度に実施することとなった.使用計画は,研究データを分析するためのコンピューター購入ならびにカットオフ値検討のため,最新知見収集のための研究旅費である.
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