研究課題
研究期間中に種々の解析を行った。以下にその一つを纏めた【目的】一般住民を対象に(男/女:427/651人、年齢:53.7±15.6歳)、耐糖能異常の有無が口腔内衛生環境に与える影響を検討する。【方法】糖尿病群(Diabetes mellitus : DM)および正常耐糖能群(Normal glucose tolerance : NGT)間におけるSalivary Multi Test(SMT)および口腔内細菌叢との関連を解析した。【結果】1. DM群及びNGT群の割合は、DM/NGT:61/366人(男)、69/582人(女)と男女間で有意差を認めなかった(p = 0.08)。2. SMTにおける齲蝕菌数はDM群で有意に多く(3.15±1.61 vs 2.61±1.61、p <0.01)、緩衝能はDM群で有意に低値であった(71.9±10.8 vs 77.8±10.4、p <0.01)。3. 16S rRNA解析による唾液中細菌は、phylumレベルではFirmicutesの割合がDM群で有意に高値であった(41.3±12.4% vs 37.2±11.6%、p <0.01)。【考察】耐糖能異常が口腔内衛生環境および細菌叢に与える影響が示された。唾液緩衝能は唾液分泌量に依存することから唾液分泌量低下による口腔内乾燥が糖尿病患者における緩衝能低下に寄与しているものと考えられた。また、FirmicutesがDM群で有意に増加するなど、耐糖能異常による口腔内細菌叢の変化が歯周病発症および重症化に影響を与えているものと思われた。【結語】耐糖能異常が口腔内衛生環境に及ぼす影響が示された。より下位の分類階級における口腔内細菌叢と耐糖能異常との関連の検討やメカニズムの解明が望まれる。
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