研究課題
我々は、低濃度の化学物質を取り扱う労働者の気道曝露モニターとして肺機能検査(FVC:努力性肺活量、FEV1:一秒量)や呼気一酸化窒素(FeNO)が有効である可能性を報告した( Suzuki R., J Occu Environ Med. 2017; 59(5): 467-473.)。FeNOと同様に気道炎症を反映する呼気ガス指標として報告されている呼気一酸化炭素(FeCO)が化学物質低濃度吸入曝露の気道影響を反映する指標として有効であるかを仙台市内の医療機関2施設の病理検査部技師15名を対象に検討した。対照として同施設で化学物質取り扱いのない労働者 9名にも同様の調査を行った。通常の勤務形態を反映する、連続した平日5日間(月曜~金曜)を調査期間とし 曝露前:月曜日始業時と曝露後:金曜日終業時、翌週月曜日始業時にFeNO, FeCOを測定した。測定機器としてFeNO測定にはNIOX VERO (Aerocrine AB, Sweden)FeCO測定にはカーボライザーⅡZ(TAIYO Osaka)を用いた。その結果①化学物質取り扱いのある労働者は、取り扱いのない労働者に比べて呼気一酸化炭素濃度(FeCO)の就業前の値が有意に高かった。②5日間の作業前後で比較すると、化学物質取り扱い労働者のFeCOは有意に低下した。③土日後翌週のFeCOは作業後より上昇(回復)した。呼気ガスは、由来・環境影響などの背景因子、個体要因、食事の影響など様々な影響があり評価が難しい一面はあるが、FeCOは、生態防御反応物質である血中ビリルビンを反映して変動することから、低濃度化学物質曝露時の生態防御反応を反映し、肺機能やFeNOと併せて、化学物質曝露時のリスクアセスメント指標として有効である可能性が示唆された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Respir Investig.
巻: 57 ページ: in press
10.1016/j.resinv.2018.12.008.
宮城県医師会報
巻: 4 ページ: 234-238
ERJ Open Res.
巻: 4(1) ページ: 00071-2017
10.1183/23120541.00071-2017. eCollection 2018 Jan.