研究課題
脳卒中・心血管疾患とがんは、死亡や健康寿命損失の直接的な原因となる。それらの予防には、高血圧・耐糖能異常等の循環器疾患リスク因子を健康診断で発見した上で病初期から適切にコントロールしたり、がん検診・精密検査によってがんを早期発見したりという健康行動が極めて重要となる。ただし、健康行動の疾病コントロールの関連の検討は不足している。そこで、本申請課題では、職域コホートにおいて、健康診断・がん検診データとレセプト情報の突合データを蓄積し、①循環器疾患リスク因子、受療状況と疾病コントロールの関連、②がん検診および精検受診率とがん発症との関連等を検討すること、を目的とした。最終年である2021年度は、糖尿病について、レセプトで評価した受療状況と健康診断で評価したコントロール状況の経年推移をとりまとめ、報告につなげた。また、がんについては、大腸がん検診・精密検査受検状況と大腸がん病名による入院状況の関連、胃がんリスク検診(ABC検診)のベースラインとその後の指標の推移を報告準備中である。研究期間全体では、当初予定の2010-2018年のデータ作成に加え、期間延長により、健診(含むがん検診)は2021年まで、レセプトは2020年までのデータが蓄積され、更にコホートを維持できる見込みとなった。学術成果としては、循環器疾患リスクの自己認識、喫煙習慣や禁煙行動と循環器疾患リスクの関連、家族状況とがん検診受診率の関連、家庭血圧測定の関連要因、家庭血圧測定と血圧コントロールの関連、健康診断・がん検診後の受診勧奨効果、糖尿病重症者のHbA1c推移等、多岐にわたる論文や学会報告が挙げられる。なお、本申請課題を通じて、コホート内でレセプトデータから受療状況を評価する手法が整えられたことにより、本コホートが別の介入研究が行われる貴重な職域コホートに発展したことも特筆すべき成果であった。
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