ソーシャル・キャピタルと健康に関する研究は、地域・職域においてそれぞれ進められ、いずれにおいても集団レベルの豊かなソーシャル・キャピタルが住民や社員の健康に正に寄与することが分かってきた。本研究では、必ずしも健康向上を主目的としない地域と職域の交流事業等を観察し、記述することで、健康への好影響を期待しうるソーシャル・キャピタルの醸成方法につき基礎的知見を得ることを目的とした。 平成28年度には地域・職域の連携を評価可能とするソーシャル・キャピタル指標について検討し、決定した。また、地域と職域の交流活動について、地域側は住民を広く対象とし、職域側は影響の及ぶ範囲を想定して、同時に両対象の調査を実施する予定であり、地域側の調査(回収n=300、住民数850)を実施した。平成29年度には、地域調査の粗集計を行い、記述結果にもとづき地域と職域の連携によるソーシャル・キャピタル醸成のための要因について検討を行った。平成30年度には、引き続き地域と職域の交流事業等についての観察からの記述を進め、成果報告会にて、さらに地域住民および企業側の人事担当者等からの意見をもとに協議を行った。 令和元年度においては、当初の研究最終年度であった平成30年度に諸事情により実施できなかった、成果ハンドブックの作成を行った。また、同時に、具体的な地域・職域の交流活動については、事業ベースで実施していくことができるモデルを吉備中央町において、おおむね構築することができた。
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