研究課題/領域番号 |
16K09109
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
川田 智之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00224791)
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研究分担者 |
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
大塚 俊昭 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80339374)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 睡眠時呼吸障害 / メタボリック症候群 / 睡眠による休養 / インスリン抵抗性 / 血清C反応タンパク / 血漿フィブリノーゲン / 睡眠問診票 / 関連性 |
研究実績の概要 |
【はじめに】睡眠時呼吸障害(SDB)とメタボリック症候群(MetS)構成因子数との関連性を、人間ドック受診男性を対象に検討した。また、MetSおよび関連生物学指標(血清インスリン、血清CRP、血漿フィブリノーゲン)と睡眠との関連性を、職域男性を対象者に検討した。 【対象と方法】人間ドック受診男性は518人、SDB指標として、携帯用睡眠時無呼吸検査装置(日本光電社製SAS-2100)を用いたApnea-hypopnea Index (AHI)を用いた。また、職域男性での検討は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心脳血管疾患、高尿酸血症、肝疾患のいずれかで治療中の者、およびCRP10mg/L以上を除く35-60歳1849人を対象とした。血清インスリン、高感度C反応タンパク質(CRP)、血漿フィブリノーゲンを測定し、睡眠指標として「睡眠で休養がとれたかどうか」を用いた。 【結果およびまとめ】MetS構成因子数は0-5で、各群のAHI平均(1標準偏差)は、8.0(6.6)、11.4(10.2)、15.6(14.8)、13.5(11.8)、17.2(13.8)、および19.7(13.2)であった。MetS構成因子数2個以上の群は、MetS構成因子数0群と比べて、有意にAHIが高かった。また、職域男性での解析では、MetS と有意に関連する指標として、年齢、定期的運動習慣がない、飲酒、インスリン抵抗性指標Homeostasis model assessment-Insulin Resistance(HOMA-IR)、血清CRPが抽出され、「睡眠で休養がとれたかどうか」はMetSと関連を認めなかった。「睡眠で休養がとれたかどうか」はSDBの代替指標ではないので、今後、職域でもSDB指標を用いた解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠時呼吸障害(SDB)とメタボリック症候群(MetS)との関連性分析ができるだけの例数が集まりつつある。人間ドックおよび職域での男性を対象にした解析であるが、ドック解析では、SDBとMetS構成因子数との有意の関連性を示すことができた。また、職域では十分な例数により、3つのバイオマーカーのうち、インスリン抵抗性と血清CRPがMetSに関連し、他に、年齢、定期的運動習慣がない、および飲酒がMetSに関連していた。一方、「睡眠で休養がとれた」はMetSと関連性がなかった。以上、2つの集団を設定し、SDBあるいは関連睡眠指標とMetSとの横断的解析を試みることができた。特に、携帯用睡眠時無呼吸検査装置の生理データが集積され、同時に、SDBおよびねむけに関連する問診票(STOP-BANGとESS(Epworth Sleepiness Scale))データも収集されつつあり、生理指標と主観的指標との関連性を検討することで、スクリーニング能の評価が可能になりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、携帯用睡眠時無呼吸検査装置による測定およびバイオマーカー測定の例数を重ね、前者はドック集団で、SDBとMetSとの関連性を継続して検討したい。また、バイオマーカー測定の職域集団では、要因調整によるMetS予測の多変量解析を継続予定である。なお、SDBおよびねむけに関連する問診票(STOP-BANGとESS(Epworth Sleepiness Scale))データデータも蓄積されつつあるので、問診票のスクリーニング能に関する評価を行う予定である。なお、現在解析中のデータベースおよびこれまでのデータベースを基に、MetS発症に関する縦断研究も行いたいと考えている。ただし、SDBに関する生理指標や問診票データは、新規に開始されたものなので、追跡期間が短い問題がある。可能な範囲で因果関係が類推できるよう、将来的なデータベース整備についても考慮したい。
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