研究課題/領域番号 |
16K09111
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
太田 充彦 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (80346709)
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研究分担者 |
河田 健司 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30418743)
八谷 寛 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30324437)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん / サバイバーシップ / 両立支援 |
研究実績の概要 |
本年度は(1)日本におけるがんサバイバーの復職率に関するシステマティックレビューの作成・投稿、(2)復職したがんサバイバーの生活上の困難、主観的健康観、心理社会的要因に関する全国規模調査の準備を行った。 (1)日本におけるがんサバイバーの復職率は、これを把握する国のサーベイランス(およびそれに準ずるもの)がなく、個々の研究報告という形でしか測り知ることができない。これらを集約したシステマティックレビューはこれまでにない。そこで本研究ではこのシステマティックレビューを行うため、関連する論文の検索、レビューを行った。その過程で復職率の集計を行うとともに、既存の研究で存在する各種バイアスの評価を行った。成果を報告する論文を作成・投稿すると同時に(今年度中に採択までは至らず)、国際・国内学会にて発表を行った。 (2)私たちは既に本研究において、A県公務員を対象者として、復職を果たしたがんサバイバーの生活上の困難、主観的健康観、心理社会的要因(ストレス認知、ソーシャルサポート、ソーシャルキャピタル、生きがい、幸福感)を調べた(Katoh et al. Fujita Med J 2017; 3: 55-61)。がんサバイバーはそうではない者に比べて生活上の困難を有意に高い割合で有していたこと、主観的健康観への影響は男性のみで存在したこと、心理社会的要因への影響はなかったことが示された。対象者中のがんサバイバー数が少ないことが研究の限界であり、より大規模な全国規模の調査データを利用して解析する必要があることも分かった。これを全国10万人以上の一般住民集団を対象者とした次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)のデータを利用して解析することとなった。実施のために研究事務局との折衝や、倫理審査等の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでにがんサバイバーの復職率や、復職したがんサバイバーの特性を明らかにする研究を行ってきた。これらは、がんサバイバーの復職にあたり臨床医と産業医が共有したい・するべき情報を明らかにするための情報として有用であった。ただ、前項で述べたがんサバイバーの復職率に関するシステマティックレビュー論文はまだ学術誌の採択に至っていない。また、JPHC-NEXTのデータのデータを利用して、がんサバイバーの生活上の困難、主観的健康観、心理社会的要因をさらに実施できることになった。そのため、2018年度中にすべての研究を終了することはできず、2019年度に引き続き行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究開始時に設定した目標は、がんサバイバーの復職を支援するために、いつどのような情報をどのようにがん治療の主治医と復職先の産業医が共有すればよいかを明らかにすることと、その方法を開発することであった。本研究を開始した時点では診療情報の主治医・産業医の共有は、そのことに理解ある医師間にとどまっていた。しかし、がんを取り巻く状況は大きく変わり、2018年度の診療報酬改定で治療担当医(主治医)と産業医が連携して、就労に必要な指導などを行うことを評価する「療養・就労両立支援指導料」が導入された。この算定のためには「治療担当医が病状、治療計画、就労上必要な配慮等について、産業医に文書で診療情報を提供すること」、「産業医からの治療継続等のための助言を治療担当医が取得すること」「産業医の助言を踏まえ、治療担当医が治療計画を見直 し・再検討すること」が要件となっている。このように診療報酬が付く形で具体的に主治医と産業医の情報共有が促進された現状では、この具体的な算定要件を満たすために必要な情報を整理し、主治医・産業医が提示しやすい方法を明らかにすること最終的な研究成果とすることが必要と考える。 このことを踏まえ、次年度は、療養・就労両立支援指導料を算定したがんサバイバーに関して主治医・産業医がどのような情報を実際にやり取りし、就労状況・治療計画にどのような影響を与えたかを明らかにすることを計画している。併せて、復職したがんサバイバーの生活上の困難・主観的健康観・心理社会的要因に関する調査、がんサバイバーの復職の成否に関連する要因に関するシステマティックレビューを進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文作成・学会発表に際して使用する予定であった人件費・謝金(英文校正費など)およびその他の費用(出版費)の使用がなかったため。平成30年度以降も論文作成・学会発表の予定があり、それに充当する。
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