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2016 年度 実施状況報告書

新型の出現に対応したアデノウイルス検出法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K09118
研究機関大阪府立公衆衛生研究所

研究代表者

廣井 聡  大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 主任研究員 (40455548)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードアデノウイルス / サーベイランス
研究実績の概要

アデノウイルスは近年、同種間の遺伝子組換による新型株の報告が日本を含む各国で相次いでおり、これらのウイルス株は従来の抗血清を用いた型別方法では正確に型別するが難しくなっている。新型株も含めて型別を行うにはアデノウイルス遺伝子全長または複数領域の遺伝子解析を行うのが最も正確であるが、多検体を扱う病原体サーベイランスでは現実的には1領域で型別できることが望ましいと考えられる。そこで今回、新型を含む各型のアデノウイルスの遺伝子配列を検討することにより、新たに作製したプライマーを用いたPCR法および塩基配列解析による型別について検討を行った。その結果、当所で保管している各型のアデノウイルス分離株を用いてそのヘキソン遺伝子の抗原領域(loop1領域)の部分配列(約600bp)を決定することにより、近年国内で一般的に検出されている各型の型別が可能であることが確認された。
また、臨床検体からアデノウイルスを高い感度で検出できるようリアルタイムPCR法による検出系の確立を試みた。ペントンベース遺伝子の部分領域を用いたこの方法は、新しい型である53型、54型、56型に加えて当所で分離された57型および82型も検出可能で、A-F種のすべての種のアデノウイルスが検出できることを確認した。陽性コントロールを用いた検討では、この系で少なくとも10コピー/μLまで検出可能で、実際の病原体検索に応用できると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初に計画していた通り、アデノウイルスの型別に適当な領域を用いたPCR法を作製でき、また、所期の計画に加えてリアルタイムPCR法による高感度な検出系を作製し、いずれの方法についても臨床分離株を用いてその有用性を検証することができた。

今後の研究の推進方策

作製した方法を実際の病原体サーベイランスで使用し、現在行っている型別方法と結果の比較を行う。特に新型アデノウイルスの型別は1領域の塩基配列解析で実際に問題なく応用可能かを検討する。
また、ウイルス分離が難しいあるいは時間がかかると考えられるD種やF種のアデノウイルスの分離方法を検討するために、これまであまりアデノウイルスの分離に使用されていないような細胞株を用いて受容体分子の発現の有無や分離および増殖効率に改善が認められるかについて検証を行う。
さらに、当所で保有しているD種やF種の臨床分離株の中には、比較的増殖効率が良い株があるため、そのウイルス遺伝子を解析して増殖効率が良くない株と何らかの違いがないか検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた学会に参加できなかったために旅費が予定額より少なくなったため。

次年度使用額の使用計画

概ね予定通りに進展しているため、今年度も遺伝子解析試薬や培養細胞を用いた実験の試薬などの消耗品を中心に使用する予定である。また、今年度は学会へ参加するための旅費にも使用する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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