研究実績の概要 |
大阪、金沢で捕集した大気粉塵中塩素化多環芳香族炭化水素類(CL-PAHs)8種類(3-クロロフルオランテン(3-ClFluor)、8-ClFluor、1-クロロピレン(1-ClPyr)、6-クロロクリセン、7-クロロベンゾ[a]アントラセン、6,12-ジクロロクリセン、7,12-ジクロロベンゾ[a]アントラセン、6-クロロベンゾ[a]ピレン(6-ClBaP))及びPAHs9種類(フェナントレン、アントラセン、Fluor、Pyr、クリセン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、BaP)の分析の結果、3-ClFluor、1-ClPyr、6-ClBaPが全CL-PAHsの83~88%を占めることが分かった。流量あたり粒径別濃度は、全粉塵中CL-PAHsの69~88%、PAHsで86~92%がPM2.5中に存在し,11~18%のCL-PAHsが<0.1 μmに分布していた。環数の多いPAHsは少ないものに比較しより微小な粒子に分布する傾向を持つことが明らかとなった。CL-PAHs、及びPAHsは共に冬季において0.5‐1.0 μm 及び 1.0‐2.5 μmで顕著に濃度が増加し、特に金沢で上昇幅が大きいことが判明した。捕集中の大気塊の流れを後方流跡線解析した結果、夏季に特徴的な傾向は見られなかった一方、冬季は空気塊がアジア大陸から流れてきており、このことが、冬季に特定の粒子径においてCL-PAHs、PAHs濃度が上昇した原因の一端となったことが示唆され、地理的要因から金沢においてその影響が大きくなったのではないかと推定された。また、大気粉塵試料抽出液の、酵母レポータージーンアッセイによる粒径別AhR活性化能を評価した。その結果、PM2.5以下の画分においてAhR結合能を有する物質が多く存在していることが明らかとなった。
|