研究課題/領域番号 |
16K09137
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
本橋 豊 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 自殺総合対策推進センター, センター長 (10174351)
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研究分担者 |
渡辺 能行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00191809)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自殺対策 / 公共輸出 / 韓国 / 自殺統計 / モニタリング / プロファイル |
研究実績の概要 |
アジアの中で自殺問題がとりわけ深刻な韓国に焦点をあてて自殺対策の現状と課題を調査した。Sangji大学のPark教授、Suwon 自殺予防センターのChong氏を対象に、韓国の自殺対策の現状をヒアリング調査を実施した。韓国の自殺対策は日本と比べて精神保健重視の施策が中心であり、今後の課題としてより社会経済的背景に注目した政策形成が必要であるとの認識が示された。また、韓国では自殺に対する文化的雰囲気を変えていくことがひとつの眼目となっており、この点も日本とは異なると言うことが示された。日本では自殺対策基本法が改正されて、地域自殺対策推進の法的基盤が整備されたことに対して、韓国の研究者は強い関心を示し、日本の自殺対策の方向性を韓国において生かす方向性を模索する必要があるとの認識が示され、日本の自殺対策の国際輸出を成功させるための要件について詰めていく必要があるとの共通理解が示された。韓国以外の海外の自殺対策の先進モデルとして、アイルランドの自殺に関連した死因統計の在り方と多分野協働の自殺対策の重視について、資料に基づく情報収集を図った。今後、日本では諸外国と比較して送れている正確な死因統計の整備の在り方について先進事例をもとに日本の自殺対策に政策輸入する必要性があると考えられた。日本において、今後自殺死亡統計のデータベース化が重要な政策となることから、フランスの自殺統計データベースシステム(自殺統計モニタリングシステム、l'Observatoire de suicide)について、既存の文献資料から情報収集を図った。フランスでは社会保障省に設置されたセンターがデータベース構築を行っており、自殺統計マッピングも行っていた。日本で開発中の地域自殺実態プロファイルとの比較を行い、日本のプロファイルでは基礎自治体のデータ分析を行っていおる点において、優位性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、アジアを中心とした諸外国の自殺対策の最新事情を情報収集することに焦点を当てるという当初の目標をほぼ達成した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、改正自殺対策基本法に基づく地域自殺対策推進の具体的方策がアジア諸国をはじめとする諸外国に技術移転できる可能性について検討を行う。本橋らが開発した地域自殺実態プロファイルと地域自殺対策政策パッケージを公共輸出するために、二つのツールの英文化を行い、社会文化的背景の異なるアジア諸国などに如何に最適化させるかについての研究を行う。韓国やインドなどの自殺問題が深刻なくにの個別事情と地域特性の多様性に配慮した政策パッケージの内容を検討する。また、諸外国の自殺対策の政策担当者の面談等により質的評価も加えつつ、自殺対策の政策パッケージの最適化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の出席予定だった国際学会への出張が本務多忙のため欠席となったため、旅費の支出額が減額となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会への出席により成果発表を行う予定である。
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