特別養護老人ホーム ( A県内中山間地域の2市,16ヶ所)のにアンケート用紙を郵送し介護職員189名より回答を得た。認知症ケアの実施度と負担度と有効度を5件法で記入,厚生労働省が作成した職業性ストレス簡易調査票を一部改変した。集計・分析にはPASWStatistics18.0を用いた。基本属性等と実施度,有効度,負担度に関してクロス集計を行い,認知症ケアのストレスの関係性を分析した。Spearmanの相関とカイ二乗検定を用い認知症ケアの負担度、実行度,有効度の関係性の分析を行った。倫理的配慮は県立広島大学研究倫理委員会の承認を得て行った。(承認番号:第15MH072号) 介護職員の現職場にて認知症ケアの専門性の有無と認知症ケアの実施度・負担度・有効度には有意差が認められ(p < 0.001),専門性が非常にある・かなりある回答が,専門性が多少ある・ほとんどないと回答よりも実施度・負担度・有効度は高い傾向にあった。行動上の問題に介護職員は最も強いストレスを示した。人間関係は,ストレスに影響はあまりなかった。認知症ケアの実施度と負担度には,やや強い正の相関が見られた(r= 0.590)。実施度と有効度には強い負の相関(r =-0.704),負担度と有効度には負の相関(r=-0.413)が見られた。 介護職員にとって,「行動上の問題」がストレスの要因となった。身体的要素より精神的要素が高ストレスを生んだ。認知症ケアの実施度と負担度,有効度の関係にて,実施増と負担増に伴う有効性が減少した。有効な認知症ケアの実施と負担度の減少が示唆された。専門性の有無に対し,実施度,負担度,有効度にて有意差がみられ,専門性を持った認知症ケアが有効性の増加を示唆された。ストレスを軽減するためには,有効な認知症ケアを実施できる環境,認知症のケアの専門性を習得する必要がある。
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