研究課題/領域番号 |
16K09144
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
金井 智恵子 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (00611089)
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研究分担者 |
太田 晴久 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (00439366)
加藤 進昌 昭和大学, 発達障害医療研究所, 所長 (10106213)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達障害 |
研究実績の概要 |
今年度は、引き続きASDの日本語能力との関連性について検討した。61名(平均値 28.0歳(20-54)男性 46名、女性 15名:自閉症スペクトラム(Autism spectrum disorders: ASD)群30名;男性24名、女性 6 名、定型発達(Typical Development: TD)群 31名;男性22 名、女性 9 名)を対象にして、日本語能力試験(JLPT)および日本語検定(語検)を用いて、ASDの言語的な特性を検討した。両群においてJLPTおよび語検の正答率に有意差が示された。またASD群では語検のJ-scoreおよび1つの下位項目の正答率とAQに正の相関が示されたが、TD群では示されなかった。したがって、本研究により、ASDでは、言語理解および視覚情報・分析能力が優れていたという点で、言語的な特性が明らかになった。次に、ASDの他者視点における視線行動の動きを視線計測によって測定を実施している。現在、TD群5名とASD群5名を対象に実験を進めているが、傾向がまだ明らかになっていないため、次年度も継続して検討が必要である。さらにASD児を対象に生理学指標を用いた実験計画も準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内学会演題提出、論文発表、実験の被験者の確保、視線計測の課題決定、診断・臨床評価のデータの収集は計画通りに実施されている。今年度は被験者データを解析し、海外論文の投稿を目指す。また今後は子どものSDを対象に生理学指標を用いた実験を行い、その準備を実施している。以上のような成果に基づき、来年度に向けて研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は3年目に入るため、以下の2点を中心に研究を進めていく。第一には成人ASDの視線計測を実施する。現在視線計測の実験を実施している。今年度には実験を終了し、データをまとめて論文を投稿する予定である。第二には、乳幼児ASDに対しても準備に取り掛かり、実験を進めていく。まずは、パイロット研究として、定型発達の子どもを対象に実験を行い、先行研究に基づく妥当な結果が得られれば、ASDの子どもを対象に生理学研究を用いた実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:当該研究費が生じた状況については、ASD児のリクルートの問題により当初の研究計画よりもやや遅くなっているため、当初計画していなかったASD児のリクルート先の開発を行う必要が出てきたため
使用計画:研究費使用計画については、ASD学会発表のための旅費(3回)、リクルート開拓先のための費用、生理的な指標としての機器(パソコン周辺機器)、研究資料を検討している。
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