研究課題/領域番号 |
16K09149
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
神田 靖士 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70295799)
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研究分担者 |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 活動性結核 / MPB64 / 診断キット / ラオス / 尿 |
研究実績の概要 |
診断用キットを開発する上で必要な抗原MPB64タンパクを取得するため大腸菌によるリコンビナント抗原の作成を行った。今までに取得したリコンビナント抗原は、1)発現量の低さ、2)不溶性タンパクとして発現するなどの理由から再検討が必要であった。そこで、当該年は発現安定性の向上のため、mpb64 遺伝子を発現ベクターに組む際に発現安定化を図るコドンを挿入し、発現ベクターへの再クローニングを行った。更に発現タンパクの可溶化することを目的に実績のある数種類の大腸菌株(ホスト)にトランスフォームし、検討を行った。その結果、発現量の改善は見られたものの、可溶化に関しては劇的な改善は認められなかった。現在、リコンビナント抗原の大量取得を目指し、培養のスケールアップとその際の目的タンパクの発現量の相違を検討することで、最適な培養条件を検討している。 また、研究計画によると当該年は検体を収集するラオス国において倫理申請書の承認まで非常に時間がかかっており未だ検体を収集するに至っていない。本調査にともなう前段階とした、ラオスカムワン保健局との協議ならびに結核病院との協力の構築とタイマイドン大学における熱帯地域の結核診断状況の情報収集をおこなった。倫理申請書の承認が下り次第、ラオスカムワン県において病院にて結核、特に活動性結核と診断された患者に対してインフォームドコンセントを行い、検体を採取していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年は共同研究先であるラオス国と検体の採取に関して、共同研究の申し出と倫理申請書の承認手続きを行った。従来は比較的短期間での申請書の承認が得られていたが、昨年より政府の組織とシステムが大きく変わり非常に煩雑になった。申請書は英語とラオス語の併記が必要となり、内容に関しても査読者の増加など審査も非常に厳しくなり承認を得るまでに時間を要するようになった。予想以上に承認まで時間がかかっているために検体採取が未だできておらず、予定より少し遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在申請中のラオス国での倫理申請書が承認され次第、結核患者からの検体の採取を開始する。また、リコンビナント抗原の作成においてはスケールアップのための培養条件の検討、HisTagを用いたリコンビナント抗原の大量精製を行い、診断用キットに用いる抗原の準備を完了する。また、ラオス国でのサンプル収集した結核患者の血清と尿を日本に持ち帰り、検体を用いて健常者と見分けるべく最適な反応条件を検討する予定にしている。その際、ドットブロットに用いるドットあたりの抗原量、血清や尿の希釈倍率、2次抗体の希釈倍率、発色及び金コロイドを用いた検出法の検討をそれぞれ行う事で、より高感度で特異度高い診断キットの作成を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通りラオス国での倫理申請書の承認手続きが予想以上に長引き、検体の収集が未だできていない。このことを受けて計画ではサンプルの回収にかかる費用を計上していたが、この費用が未執行であった。また、リコンビナント抗原の作成に関しては上述の通り可溶化、発現の安定化による発現量の改善を行ったため、遺伝子工学用試薬の費用が予定より多くかかった。そのため、差し引きした上で少額ではあるが繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は予定通り検体の収集ができる予定で繰越額は検体の収集に充てて使用することを予定している。
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