本年度はカムワン県内の病院においてインフォームドコンセントのもと結核患者(疑いを含めて)の検体を収集した。今回、HIV感染との混合感染の患者2名を含む約40名の結核患者の検体(尿及び血清)をサンプリングすることができた。特に発展途上国において結核とHIVとの混合感染者は年々増加しており、これらの患者の診断を行う事も重要視されている。 昨年度から新規診断用抗原としてクローニングしたDNAを用いて、発現ベクターへのクローニング、大腸菌による発現させたタンパクの精製を行った。このタンパクをドットブロット法により収集した検体を用いてその診断の有用性を件とした結果、活動性結核患者の検体を用いた場合は確実に陽性を示すことが分かった。しかしながら非結核患者において頻度は少ないものの陽性及び擬陽性を示すものがあった。これはラオスでも実施されているBCGワクチン接種の影響が関与していることも示唆され課題が残された。 そこで今後は簡便で確実に診断可能な診断法を開発することが必要であると考え、活動性結核において尿中に特異的に検出される新規バイオマーカーの探索を行うことにした。その上で、その診断法としての有用性を確認するために収集した複数の患者検体を用いて、その個体差による比較及び治療経過におけるバイオマーカーと症状との関連も同時に検討する。これにより、結核患者における活動期と非活動期とのバイオマーカーの検出量の差及び種類の違いを捉えることで、活動期か非活動期かの見極めや治療効果の目安にもなる指標としての有用性を検討する予定である。
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