研究実績の概要 |
研究目的は地域在住高齢者の生活機能の活動や参加を改善する支援方法の構築であった。研究期間中の介護保険法改正に伴い、平成29年度以降の研究対象者を二次予防事業対象者から要支援1,2の認定を受けた(以下、要支援)者も含む総合事業対象者に変更した。そこで要支援者にも対応可能な通所型サービスC参加者用の介護予防ケアマネジメントを考案した。これはプログラム参加時に身体機能の向上だけでなく個々の高齢者が通いの場への参加や趣味・IADL活動の実行につながるよう、環境調整や課題解決に向けた支援を多職種(地域包括支援センターのケアマネジャー、保健師、栄養士、歯科衛生士、作業療法士)が連携して支援する方法である。分析は平成28年度までと平成29,30年度の参加者に分けて行った。 平成28年度以前の二次予防参加者に関する研究成果は原著論文として採択された。さらに平成29,30年度の参加者を対象とした分析は、プログラム終了後1年の追跡調査を行い、57人が追跡調査を完了した。結果、プログラム参加時と比較して、1年後に介護度の改善及び基本チェックリストの判定基準による事業対象者から非該当者に変化した改善者は22人(以下、改善群)、維持者は28人(維持群)、悪化者は7人(悪化群)であった。改善群と維持・悪化群の比較では、プログラム参加時の身体機能(バランス能力や歩行速度)のみに有意な差があった。活動や参加の実行状況の比較では、改善群は維持・悪化群に比して、身体活動を伴う外出(映画、観劇、食事)及び買い物を週3回以上行っていた。 身体活動を伴う社会参加には、あらたに体操を行う通いの場に習慣的に参加するようになった方が多かった。身体機能向上の取り組みとともに通いの場につなげることや生活課題を個別の状況に応じて解決できるよう支援することが重要であると考えられた。
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