研究実績の概要 |
地域住民における医療と介護を合算した費用が高額となる要因について検討することを目的とした。平成23年10月20日現在で40歳以上のF県C町全住民16,176名(男7,433名、女8,743名)を対象にソーシャルキャピタル(以後SC)、主観的健康感、生活習慣、健康状態などに関するアンケート調査回答者12,489名(77.2%)の中で国保または後期高齢者医療制度(以後、後期高齢)の対象かつC町が保有する情報とアンケート調査の情報の連結に承諾を得られた4,177名から平成25年4月1日に資格喪失(死亡、転出、他保険制度への異動)していた364人を除いた3,813人を分析対象とした。平成23年度および25年度診療分の国保、後期高齢、介護保険の費用を合算し、平成25年度の医療と介護を合わせた費用が上位10%となる要因として、性別、年齢(10歳階級)、SCの高低、主観的健康観(良い、良くない)、主観的社会経済状況(良い、普通、悪い)、平成23年度の費用(4分位)を説明変数とした。SCの指標は、日本版リソースジェネレーターにおける日常生活の様々な場面を27項目取り上げ、各場面で必要なときに助けてくれる人がいる場合を1点、それ以外を0点として、合計が9点以下の者を低SC群、10点以上の者を高SC群とした。統計学的解析は二項ロジスティック回帰モデルで多変量解析を実施した。データ分析にあたってはC町において個人を特定可能な情報を含まないデータセットを作成し、帝京大学倫理委員会の承認を受けた。多変量解析の結果、年齢、主観的健康観、主観的社会経済状況、平成23年度の費用(4分位)は統計学的有意に平成25年の医療と介護を合わせた費用が上位10%となる要因とされた。しかし、性別、SCの高低は統計学的有意ではなかった。
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