研究課題/領域番号 |
16K09152
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
馬場 みちえ 福岡大学, 医学部, 准教授 (60320248)
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研究分担者 |
緒方 久美子 福岡大学, 医学部, 准教授 (00309981)
山本 八千代 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (10295149)
人見 裕江 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (30259593)
大城 知子 福岡大学, 医学部, 講師 (50461538)
鮎川 春美 聖マリア学院大学, 看護学部, 講師 (60633005)
大倉 美鶴 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 教授 (70364172)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知症 / 家族 / 介入研究 / ケアマネージャー / 支援方法 |
研究実績の概要 |
認知症の人の家族介護者は、認知症の初期の認知症の病状の不安定さに本人も含めて状況を把握できないことへの戸惑い、今後の見通し、周囲への対応も含めて困惑が生じていた。特に認知症初期の人に混乱が生じ、介護負担感を多く感じていたことが28年度に明らかにした。 29年度は、認知症初期の人の家族を対象として、家族支援するための講座(家族支援プログラム)を平成29年12月から30年5月まで月1回6回コース3時間、24名を対象として開催した。内容は家族の介護コンピテンシーを向上のために、認知症に関する知識、社会資源やリハビリの知識、認知症の人とのかかわり方、医師やケアマネージャーとのかかわり方について教育的サポートとした。毎回交流会も開催し、お互いに情緒的サポートができるようにした。先日講座が終了したばかりでまだ十分な評価は解析していないが、参加者の振り返りによると、「講座に参加して、自分自身で介護の仕方が変化してきた」「もっともっと母の事、病気のことを理解していこうと思った」「母が穏やかに過ごすようになった」「自分自身が救われた」と家族介護者がエンパワーメントへ向けた肯定的な意見が多くだされた。また、この研究は介入研究であり、対照群を設けている。今年度家族介護者支援のために重要なエビデンスとして客観的評価を実施する予定である。講座も改良し継続していきたい。 また、29年度は家族支援プログラムと同時並行で、ケアマネージャーを対象に、家族介護者への認識とアセスメント方法などについて15名に月1回5名~15名、5か月間家族への講座とは別日に講座を行った。それによるとケアマネージャーは認知症に関して知識を得る場が少なく、家族に対する対応方法についても研修などないため、必要であることが明らかになった。 今後認知症の人と家族のために、知識や対応方法、支援方法に向けた詳細な分析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
29年度は、認知症初期の人の家族を対象とした家族支援の講座(家族支援プログラム)を介入研究で実施した。今年度はその評価をすることで、認知症の人の家族が求める支援、対応などが明らかになると考えている。 同時にケアマネージャーを対象とした認知症の人のアセスメント、支援方法に関する講座を別日に開催した。ケアマネージャーが認知症に関してどのようなことがわかりにくいのか、家族からどのようなニーズがあるのかアセスメントできる方法を事例検討しながら一緒に考えた。その際にインタビューやアンケート調査を実施しており、その詳細な解析を行う。今年度は解析しながら、数回事例検討会を行い、誰でもがわかりやすい冊子や対処方法などを作成したい。 当初より予定していた調査は認知症の人への介入研究をしたことで認知症を取り巻く課題がみえてきて、計画以上に進展することができた。同時にケアマネージャーに対しても講座や事例検討会を実施したため、認知症の人の家族や専門職が抱えている課題が少しずつみえてきた。今年度は昨年の調査を詳細に分析し、わかりやすく、どの立場であっても誰もが納得できる報告をしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
認知症初期の人と家族は、最も混乱する時期であるにもかかわらず、相談したり、知識を得る場所が少ない。家族の会等で交流会が行われていて、家族の経験もピアカウンセリングとして大事ではあるが、個人的経験で終始するため満足しない人が多い。かといって専門家からは一方的であることが多く、聞きたいことが聞けていない。認知症を一括りと考えたり、サービスプランや施設入所に力が注がれることが多いと感じている。 認知症初期の人と家族が確かな知識をもって、自分で考え決定できるコンピテンシーの向上をはかるとともに、認知症の人もそれから家族も孤立させないような何らかの方法論が必要であると考えている。認知症初期の人と家族が学習していく過程は、認知症にまだなっていない人も、地域の専門職も重要であると考える。 30年度は29年度までに得たデータと共に、海外の活動や文献をもう一度検討し、日本での新しい社会資源ができないかどうか模索したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者坪井義夫教授が3年目に30万円使用されることになっていることと、北海道日本赤十字看護大学の大倉美鶴教授が昨年使用がなかったため繰り越した。 今年度海外の活動も含め、介入研究を分析する予定で、共同研究者が集合し、研究会議を実施したい。
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