研究課題/領域番号 |
16K09155
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研究機関 | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
研究代表者 |
河津 里沙 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部, 研究員(移行) (10747570)
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研究分担者 |
内村 和広 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 臨床・疫学部 疫学情報室, 研究員(移行) (30247283)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 結核 / 潜在性結核感染症 / 刑事施設 / インターフェロン-γ遊離試験 / 費用対効果分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は刑事施設において、1)刑事施設被収容者における既感染率の調査、2)インターフェロン‐γ遊離試験(IGRA検査)によるスクリーニングの費用対効果分析、3)潜在性結核感染症治療(LTBI治療)の成績の評価、である。これらにおいて、主目的は2)のIGRA検査によるスクリーニングの費用対効果分析であり、1)及び2)はそれに必要な実データを収集するために設定している。 初年度の計画では研究対象施設を選定し、既感染率調査のための施設入所者に対するIGRA検査実施について調整、及び研究プロトコルの作成を行う予定であった。実際に2か所の刑事施設及び保健所より本研究に対する協力の内諾を得ていたが、法務省矯正局より当該刑事施設に対し、協力の許可が下りなかったため、目的1)の実施が難航している。現在も調整中ではあるが、最終的に矯正局の協力が得られない可能性も加味し、代替案として既存の資料及び保健所を対象とした調査を通して得られる情報を用いて費用対効果分析を実施することも検討している。 従って、初年度は費用対効果分析に必要な情報を収集する目的で、管轄内に刑事施設を持つ3保健所を訪問し、調査票に基づき情報収集を行った。主な調査項目は:①通常の患者発生時における刑事施設側との結核患者情報のやりとりについて、②刑事施設における入所時健診・定期健診について、③接触者健診の実施について、④近年経験した集団感染事例について、であった。これにより既感染率、LTBI治療の実施状況、定期健診における患者発見率等に関する情報が収集できた。これに加えてIGRA検査の費用対効果分析に関する国内外の先行研究を整理し、費用対効果分析で用いるモデルの素案を構築した。 研究プロトコルの作成に関しては、既感染率に関して実施調査(すなわち目的1))を実施する場合、及び実施しない場合の2通りのプロトコルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記「研究実績の概要」で述べているとおり、目的の1)であった刑事施設被収容者に対する既感染率調査に関し、法務省矯正局との調整が難航していることが主な理由である。 その一方で早い段階で代替案を検討し、最終目的である費用対効果分析を実施するための、1)以外の情報収集を開始することができている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は6月頃まで1)に関し、調整を試みるが、刑事施設被収容者の既感染率に関し、当初予定していた方法で情報が収集できなかった場合に、代替案に切り替え、倫理審査委員会に申請する。保健所を対象とした調査を追加して行い、費用対効果分析に必要な情報を蓄積する。また費用面に関しても情報収集を開始する。 これらの情報をもとに、より信頼性・妥当性の高いモデルを構築する。またIGRA検査の費用対効果分析に関しては、国内での先行研究が限定的であるため、海外(オーストラリア、等)の研究者らとの意見交換を実施する予定である。 更に、最終的に法務省矯正局の許可が下されなかった際に、IGRA検査の導入にあたり、費用対効果以外での側面において検討すべき要因を整理することも考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したとおり、被収容者の既感染率調査に伴う研究協力施設との打ち合わせが実施されなかったこと、また保健所調査のうち、1件は別件も兼ねて別予算で賄うことができたことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額に関しては、保健所調査を追加で実施する場合の旅費とする。
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