研究実績の概要 |
本年度は東北大学病院の関連病院ならびに東北大学病院の研修医に対し、医療安全に関する実態調査を行った。105名から回答を得た。 医学部で受けた教育方法で有用であったものは講義・レポート・グループワークであり、在職中に受けた教育方法で有用であったものは講義・グループワーク・シミュレーション・e-learningがあげられていた。また研修医にとって必要な教育内容については、自院・他院の重大事例、侵襲的手技の注意点、麻薬・危険薬の取り扱い、コミュニケーションであった。 医療安全上重要な3つの事故(横浜市立大学患者取り違え、都立広尾病院誤注射、福島県立大野病院事件)について、は初期研修開始直後、1年経過後、修了時いずれも70%程度が内容まで知っている、聞いたことがあるという回答であった。インシデント報告システムについては70%以上が知っていた。医療事故調査制度に関しても70%が知っている、聞いたことがあるという回答であった。 質改善に関する幾つかの用語(KYT, 5S, 5R, PDCA)に関してはKYTはほとんど知られておらず、5S, 5Rは約半数が知っており、PDCAについては70%が知っていた。インシデントレポートを提出したことがある研修医は約25%であった。提出していない理由としてはインシデントを経験していない、些細な事例であった、指導医が報告してくれた、忙しかった等があげられていた。現在これらの結果につき詳細に解析中である。 本研究の参加者に対してはe-learningプログラムを提供し、参加型のハンズオンを主体とした研修に参加してもらった。今後これらについて評価を行う予定である。
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