2017年度に行った初期研修医に対するアンケートを基に、2018年度は我々が実施したプログラム参加者に対してフォローアップのアンケート調査を行い結果を比較し、プログラムの効果を検討した。インシデントレポートの提出率は本プログラム参加者は0%、市中病院で35%であった。提出しなかった最多の理由はインシデントの経験がないというものであった。医療安全に関する術語については、本プログラム参加者は100%が知っていたが市中病院では平均48%であった。研修医が必要と考える教育内容は、過去の重大事例、侵襲的な手技の注意点、麻薬・危険薬の扱い、コミニュケーションスキルが主に上げられていた。有用と思われる教育方法については、講義、グループワーク、事例検討会、シミュレーションが回答者の50%以上が有用と思われると回答していた。E-learningが有用だと回答した者は 34.3%であった。他に有用な方法として、インシデントの共有、ビデオ検討会、研修現場での振り返りがあげられていた。 我々のプログラムは知識面での効果は得られたが態度面での行動変容は来せなかった。研修医はE-learning よりも実際の事例に基づく事例検討会や、侵襲的な手技のシミュレーショントレーニングに有用性を見いだしており、今後新たな教育を実践する際にはにこれらの点を盛り込む必要があると思われた。 我々は上記の内容につき、2018年に開催された第13回医療の質・安全学会(名古屋市)、及びInternational Forum on Quality and Safety in Healthcare - Melbourne 2018 (オーストラリアメルボルン市)にて発表した。2019年度はこれらにデータの整理を行い、現在発表準備中である。
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