研究課題/領域番号 |
16K09163
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 亜紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (00381632)
|
研究分担者 |
木村 滋子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50382437)
脇 嘉代 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70505891)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 糖尿病 / 生活習慣 / ICT / 自己管理支援 / 食事指導 |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目標は、糖尿病患者自己管理支援システムDialBetics(ダイアルベティックス)の食事登録の利便性を上げ、評価結果の精度を高め、DialBeticsを使って糖尿病予備群・2型糖尿病患者を対象に質の高い遠隔生活指導を実現して糖尿病の重症化を予防し、健康寿命の延伸を実現することである。 現システムは①データ通信、②データ判定、③生活習慣判定の各モジュールが独立しており、個々の糖尿病患者から送信された生体情報を考慮し、それに基づいて患者から送信された生活習慣を評価・判定する。データに治療目標値からの著しい逸脱があり医師への照会が必要と判断される場合以外は、各モジュールが自動対応する。システムからのメール受信及び音声入力はスマートフォンを用いて行う。本システムは既に運用されているが、食事評価に関しては、これまでは患者から送られてきた食事画像と食事登録内容を管理栄養士が1つ1つ確認して栄養成分分析をしており患者に対して随時フィードバックすることが困難であった。 本年度は利便性を考慮した食事アドバイス機能の充実を図るとともに、食事解析の自動化に向けて、食事画像から食事の健康度を自動的に評価するシステムを考案した。本システムは、管理栄養士が食事画像の健康度を順位付けし、健康度を機械学習させたのち健康度を推定する。400枚の食事画像を用いたここまでの基礎的な研究により、一枚の食事画像から食事の健康度が評価できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はモジュール間の連携機能を追加し、サーバーに集約されたデータを患者本人のみならずその家族にも情報提供を可能にする予定だったが、管理画面の改修、システムのセキュリティ強化、サーバーの入れ替えを行ったため開発が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
食事画像を1枚登録するだけで、食事の健康度が評価できる可能性が得られたことから、患者の登録負担を軽減する手段として活用できると考えられた。引き続き再現性の検証を行い、システムへの実装を検討する。また、登録負担を軽減することによって詳細且つ継続的な登録が可能であるかを検証し、更に対面での栄養指導や保健指導に代わる食事介入プログラムの開発を目指す。 具体的には、現在、設計段階にある生活習慣判定モジュールの改修およびモジュール間の連携機能を実装し、画像処理技術に依存したシステムの信頼性を十分にチェックする。そのために、講座内のスタッフを対象としてシステムの安全性、正確性を確認した後、それぞれ10 名の糖尿病患者、予備群を対象に1ヶ月間予備実験を行う予定である。ここでは特に食事画像処理の評価結果が妥当であるか管理栄養士が分析した栄養評価と比較し、更に各モジュールの一連の流れについて安全性、正確性を再度検証する。また、患者はシステムから支援を得て行動変容が実践可能かを検討するvalidation study を実施する。特にどういったメニューが望ましいかを提示するサジェスト機能の適切性を検証する。予備研究にて検証したのち、倫理委員会の承認を得て臨床試験のエントリーを開始する。対象者は東京大学医学部附属病院に通院中の患者を中心に同意が得られた成人30 名である。システムの利用によってどの程度血糖コントロールと食事内容が改善するかを検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度開発・実装予定だったモジュール間の連携機能の追加および生活習慣判定モジュールの改修がシステムのセキュリティ強化、サーバーの入れ替えを行ったため遅れているため使用額が少なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度、食事解析の自動化に向けて考案した食事画像から食事の健康度を自動的に評価するシステムの開発継続と糖尿病患者自己管理支援システムDialBeticsへの実装、評価を行う際に使用予定である。
|