研究課題/領域番号 |
16K09170
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大西 丈二 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90432278)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域医療 / 地域包括ケア |
研究実績の概要 |
三重県南伊勢町にて65歳以上の住民を対象とし、既に実施した質問紙調査のデータから、新たに分析を行い知見を得た。 まず入院有無についての分析では男性群、高齢群、介護・介護必要群、外出頻度週1回未満の群、転倒歴がある群にて、過去1年間で入院した率が有意に高かった(オッズ比はそれぞれ 2.00、2.17(85歳以上, 対照は65-74歳)、2.63、1.57、1.84)。独居か否かは入院率には関わらなかった。次に「見守られている」という感覚についての分析からは、独居群、男性群、比較的若年群、主観的健康感が低い群にて、見守られ感は有意に低かった(いずれもp<0.001)。また定期通院率に関する分析では、基本的ADLの指標であるBarthel Indexが低い者の方が、医科医療機関定期通院が少なく、歯科通院率は要介護未認定群、要支援群、要介護群の順で低下した。 これらの結果から、高齢者総合評価の結果と歯科を含めた医療機関通院率との関連、および入院率との関連を知ることができた。入院、特に長期入院および介護施設等への長期入所は一般に不安がある場合、選択されやすいが、不安と関連する「見守られ感」を明らかにすることによって、病状とは視点を変えた長期療養できる医療機関や介護施設等のニーズについて検討することができた。 これらの成果を資料としてまとめ、関係者と共有し、29年度以降の研究計画について協議することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度は予定していなかった三重大学から名古屋大学への異動があり、研究進捗に滞りが生じた。協力機関とする町立南伊勢病院が電子カルテ導入等、大きな変化もあり、異動後、研究場所である南伊勢町と打ち合わせを重ね、およそ当初の予定通り、事業を推進できる見通しをつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は介護保険事業計画策定年度であり、本研究の内容は同計画策定に活用可能であり、南伊勢町との協力関係を持って、当初計画を推進する。当初の予算計画では、担当者の人件費を多く計上し、調査費が限られていたが、南伊勢町および町立南伊勢病院の協力があり、人件費の一部を調査費に替え、調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度、当初予定していなかった三重大学から名古屋大学への異動があり、研究補助員の雇用期間が短いものとなった。また、南伊勢町役場および町立南伊勢病院の協力があり、当初予定から人件費を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度、余裕が生じた予算を利用し、65歳以上の住民を対象とした質問紙調査および聞き取り調査を当初計画から拡大して実施する。
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