本事業は3つの研究方法を持ち、実施した。連携する地方自治体にて集められた、高齢者対象に実施された調査票を用いた郵送調査で得られたデータを利用した。複数回の調査において、回答者の属性が異なる場合、ウェイトバック法にて、性・年齢の調整が有用であることが示された。この手法によって、「バスや電車を使って一人で外出」は調整前では「できるし、している」が増えているのに、調整後は減少していることなどが知られた。さらに厚生労働省介護データベースのサンプリングデータセットを利用し、性・年齢に応じた介護施設退所後の療養場所の現状を明らかにした。同様の手法をもって、各介護サービスの性・年齢別等の利用状況を求めることができ、各地域の高齢者状況、介護施設入居・入所希望や療養場所の意向と合わせて、将来必要とされる療養環境をより適切に推定することができることが知られた。これらの知見から、高齢者において、介護ニーズを把握、年次変化の評価方法および結果を分析し、将来必要な介護サービス量について知る手法を構築、有益な知見を得ることができた。
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