医療機関による医療事故後の組織的な事故情報提供モデルの構築

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K09186
• 研究機関: 東京医科大学
• 研究代表者: 浦松 雅史 東京医科大学, 医学部, 講師 (00617532)
• 研究分担者: 松村 由美 京都大学, 医学研究科, 教授 (10362493) ; 鈴木 明 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30322142) ; 吉田 謙一 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (40166947) ; 柿沼 孝泰 東京医科大学, 医学部, 臨床講師 (80366111)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 医療事故 / 組織的対応 / 事故情報 / オープンディスクロージャー

研究実績の概要

本研究は、医療事故に遭遇した被害者（患者・家族）に，医療事故に関する情報（事故情報）を適切に提供することを可能とする仕組み（システム）のあり方を実証的に明確化することにあり，その独創性は，事故情報提供を，組織としての問題と捉え，単に現場の医師による患者・家族への事故情報提供の有無という単純化された視点ではなく，提供の時期，内容，方法，加害者を含めた関係者の支援等といった一連のプロセス全体を組織として管理する方法を，具体的に提示する点にある。
そこで前年度に引き続き、本年度においても国内外の医療機関が，患者に対して事故情報をどのような形で提供しているか，その実施実態の把握を行い，そこから見出される組織的な対応に関する課題の論点を整理した。まず研究代表者、分担者らが医療安全に関する業務を行っている各組織及びその関連組織において，当該組織における事故情報の提示に関するマニュアルやガイドラインなどの収集及び検討をし，論点の整理を行った。
その結果として、より大規模な形での当該課題の情報を集めるに際して、当初想定していた方法では限界があることが明確となったため、当初想定していた方法に加えて、別の方法においても、情報を収集することにより、当該課題に必要な情報量が担保し得るとの結論に至った。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では，当該年度において，国内の医療機関における事故情報提供の実施状況を把握し，課題を明らかにするためのアンケート調査を行う予定であったが、複数の理由からその調査を実施する前に、検討する必要な事案が生じた。まず一つには、これまでの当該課題に関する検討から、たんなるアンケート調査では、当該事案に関しての取り組みが把握しにくい可能性が存在し、その結果として本研究を遂行するに十分な情報を確保しえない可能性があること。また、当初、学会等を通してアンケート対象者を選定し、それらの協力のもとで実施する予定であったが、調整上の課題から、こうした対象の選定方法が現時点では難しい状況に至ったためである。

今後の研究の推進方策

当該年度においては、本研究課題における主題である医療機関における事故後の対応に関する情報について、当初想定していたアンケート調査といった方法に加え、他の補完的な方法を検討する必要があるため、この補完的な方法に関して早急に検討を行い、そのための準備を行うこととする。
さらにアンケート調査に関して、同時に実施するための方法を、この補完的な方法と同時に再検討を行い、調査項目等の検討を研究組織において実施する。
またこれまでの本研究における検討から、海外なかでもアメリカ合衆国においては、当該課題に関する大きな政策的な展開がみられる状況を鑑み、こうした点に関しても、我が国の状況を把握するために、さらに検討を行う必要があるため、研究組織を中心に、より踏み込んだ調査を実施する必要がある。

次年度使用額が生じた理由

(理由)当初想定していたアンケート調査では、本研究における課題への対応を十分になしうるだけの情報が収集できない可能性が高く、当該調査に加えて、他の補完的な方法の検討が必要となったため。さらに、当該課題に関する、海外の状況の進展を鑑み、こうした点に関しても検討の余地が生じたため。
(使用計画)　予定していたアンケート調査の実施に関して、内容等の再構築を行うと同時に、その遂行に際して使用すると同時に、当該調査を保管するための方法の検討およびその実施に際しての検討を行うために使用する。さらに海外の最新の状況を把握するために使用する予定である。