研究課題/領域番号 |
16K09195
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター) |
研究代表者 |
小段 真理子 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), 診療情報分析部, 主任研究員 (20746440)
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研究分担者 |
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 臨床指標 / 医療の質 / DPC |
研究実績の概要 |
29年度については、前年度に収集した臨床指標のうち、最も採用されている指標の一つである「脳梗塞患者への早期リハビリテーション実施率」について、指標の公表有無と臨床効果との関連性について統計的検証等を行った。この検証については、因果関係を含め現在も解析を継続しているところである。 また、29年度は年度計画の主目的である共通指標を作成するための組織づくりに着手した。厚労省の「医療の質の評価・公表等推進事業」などに参加している病院や、これまで指標に関する照会やご意見を国立病院機構に寄せてくださった病院の方々などを含めた組織づくりを目指した。しかし、Webサイト等で自主的に指標の計測結果を公表している病院の多くは、医療の実態を定量的に測定して公表する「病院指標」に注力しているところが多かった。この「病院指標」は平成28年度の診療報酬改定により病院の経営にも影響するようになったため、病院によってはマンパワーの問題等から臨床指標よりも病院指標の作成が優先されている状況が推察される。 それでも、厚労省の「医療の質の評価・公表等推進事業」に選定された団体等が引き続き主導し臨床指標の計測を継続している病院もあったが、こうした団体でも今後の方針が定まっていない団体もあり、その状況は様々であった。そのため、本研究においては、国立病院機構を除く外部からの協力については複数の有識者から助言を仰ぐ程度に留まることとし、詳細な検討にあたっては、国立病院機構内の臨床専門家を中心に新規指標の開発を検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度はモデル指標の開発にあたって具体的な検討を行う予定となっていたが、国立病院機構内の専門家を主体に検討することとなったため、その大半を検討のための組織づくりに費やすこととなった。具体的な人選や組織の組成にあたっては、国立病院機構内の臨床研究ネットワークを活用し、各領域の専門家を選出したうえで、複数の「アドバイザリーグループ」を組成した。アドバイザリーグループの役割としては、モデル指標となるべき指標に関する現場としての意見を与えることや、遵守すべきガイドライン等に関するアドバイスを行うことが求められる。次に、この「アドバイザリーグループ」によるアドバイスをもとに、臨床指標のコード化等について詳しい専門家を選定し、「検討部会」を組成した。検討部会の委員には、臨床指標に基づく医療の質の改善にあたる臨床家(医師)を選定し、指標の目的である質改善に直結する指標の開発を目指すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成30年は、モデル指標の開発にあたっての本格的な協議を行う予定である。すでに、アドバイザリーグループによるアドバイスをもとに新指標の開発を行っているが、平成30年5月に約8名の専門家が集う第1回の検討部会を開催する予定であり、その後も半年から1年をかけて複数の検討会を予定している。 また、新規指標の開発にあたっては、国立病院機構で新たに構築したデータベースであるNCDA(National Clinical Data Archiveの略)を用いた指標を開発する予定である。このデータベースは、DPCデータを含むこれまでの既存データでは得られなかった電子カルテのデータを集約するものであり、検査値などの臨床データも収集することが可能となる。電子カルテの導入が進む我が国において、今後のスタンダートとなることが期待されるデータベースを整備している国立病院機構のリソースを用いることで、臨床指標の目的である医療の質の改善に役立つ、より実用的な臨床指標の開発を目指すこととしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金が不要となったため
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