最終年度にあたる30年度は、モデル指標の開発に代わる具体的な検討として、国立病院機構の臨床評価指標の見直し及び新規開発にかかる検討を行った。 検討にあたっては、①国立病院機構の臨床研究ネットワークを活用して組成した各領域別の「アドバイザリーグループ」から収集したアドバイスをもとに、②「検討部会」による検討会を複数回にわたって開催し、③国立病院機構内外の有識者から構成される「臨床評価指標委員会」において最終的に諮られ、年度末(3月)に承認を得られた。 このように、臨床現場から指標化までの段階を経て検討を重ねられた国立病院機構の臨床指標は、これまでの115指標から120指標へと指標数を増やし、ゼロから開発された新規開発指標は20指標となった(このうち、DPCデータでは得られないカルテ記載の検査値などを用いて計測する臨床指標が5指標開発された)。これら120指標は、5月末現在、平成30年度の年間データを用いて計測を行っており、その妥当性を検証中であるが、今年9月にはその定義をすべて無償で一般公開することとなっている(国立病院機構のWebサイトよりPDFのダウンロードが可能)。また、これらの定義に基づく計測結果についても、DPC病院(64病院)の25指標について同日に公開予定である。 当初計画された全国のDPCデータを用いた計測については今後の課題となったが、平成22年より厚生労働省が実施している「医療の質の評価・公表等推進事業」は現在も継続されており、これまでに延べ18団体が参加している。近年では、当事業の参加要件として、「共通指標」の「共通定義」に基づく計測が求められており、これらの定義は国立病院機構によって開発された指標も数多く含まれていることから、今後、我が国の臨床指標における共通化が促進され、より一般化されることが期待される。
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