研究実績の概要 |
最終年度において、研究発表および論文執筆も完了し、関連した論文はmajor article として米国感染症学会の機関誌に2編 (Clinical Infectious Diseases, Open Forum Infectious Disease)、さらには海外の学会発表(ID week およびSHEA spring meeting)も無事に完了することができた。 特に主題である多職種による広域抗菌薬に対する抗菌薬スチュワードシッププログラムの長期効果については当院における抗菌薬適正使用プログラムの4年間にわたる長期効果を介入前の2年間、計6年間での効果判定を行った。抗菌薬適正使用プログラムは標的としている抗菌薬の使用量を統計学的な有意差を持って減少に導き、さらには抗菌薬の消費額の減少、さらには在院日数の低下にも寄与する可能性があることが示唆された。その一方で、耐性菌の発生率に関しては単一医療機関内での変化は一部の感受性に関しては効果があるものの、全般的な耐性菌の発生の減少には寄与しているとは言い難いものであった。実際に耐性菌の発生の変化にはさらに長時間の観察が必要である可能性があることが示唆された。 さらに関連する研究として、アジア地域における抗菌薬適正使用の現状に関してsystematic review および、metaanalysisを行った。この研究においては、院内での抗菌薬適正使用の実際は死亡率のきよに改善すること可能性があることが示唆された。当初は抗菌薬適正使用は主に欧米での研究が多い中で、アジア地域のデータを用いて、アジア地域の抗菌薬適正使用の状況を把握することは非常に重要であり、さらに患者アウトカムの改善が得られる可能性が示唆されたことは今後の抗菌薬適正使用を進める上で追い風となる結果であったと思われる。
|