研究課題
前年度に引き続きジフェニジンが脳内報酬系を刺激し、依存症を形成する可能性について検討を行った。Slc:Wistar/ST系雄性ラットに麻酔下で透析プローブを側坐核、前頭前野または線条体に埋め込み、翌日無麻酔・無拘束下で透析を開始し、15分毎にHPLC/ECDに自動注入してノルエピネフリン、ドパミンおよびセロトニンの定量を行った。その後、ジフェニジンを10または20 mg/kgとなる様に腹腔内投与し、さらに定量を続けた。同時に赤外線センサーによる自発的運動量の解析を行った。今年度は連続投与による検討および血液脳関門に関係するトランスポーターの阻害剤を前投与し、その影響評価も行った。連続投与は、プローブ埋込の翌日から、3日間連続でのジフェニジン投与を行い、単回投与の結果と比較した。阻害剤の影響評価では、1時間ごとに分画した透析液中のジフェニジン濃度をLC-MS/MSによって検出することで中枢移行性や脳血液中濃度比を検討した。連続投与における検討では、ジフェニジン投与が引き起こす前頭前野におけるノルエピネフリンおよびドパミンの濃度上昇について、投与を繰り返すに従ってその程度が小さくなっていく傾向が観察された。その傾向は側坐核における濃度変化や自発的運動量の変化には認められなかった。しかし、検討数が未だ少ないために再検討を必要とする。阻害剤の検討では、P糖蛋白質と有機カチントランスポーターの阻害剤を前投与することによってジフェニジンの脳中濃度上昇が観察され、これらのトランスポーターによる脳からの能動的な排出が示唆された。
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