研究課題/領域番号 |
16K09200
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂 幹樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 技術専門職員 (30447388)
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研究分担者 |
工藤 恵子 九州大学, 医学研究院, 講師 (10186405)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 予測モデル / QSAR / 危険ドラッグ / 致死濃度 |
研究実績の概要 |
危険ドラッグなどの新規合成薬物が次々と市場に出回る状況において、それら薬物の危険性を把握するのは非常に難しい。一般的には、動物への投与実験などを用いて毒性の評価が行われるが、時間を費やすために新規薬物の合成速度に追い付いていない状況にある。 一方、法医鑑定では、薬物が死因に寄与したかどうかを判断するために、該当試料の血液中濃度と文献記載の中毒・致死濃度が比較検討される。しかし、危険ドラッグなど新規の薬物ではそのデータがないものが多く、判断が難しくなる。そこで我々は、血中致死濃度予測モデルの構築に取り組むこととした。 この致死濃度予測モデルは、定量的構造活性相関(Quantitative Structure-Activity Relationship: QSAR)によって作られる。これは、新規の薬物であっても、その化学構造式さえわかれば、致死濃度を予測できるものである。本年度においては、危険ドラッグのデータが少なく信頼性も低いということがあって、従来から使用されている信頼性の高い251の薬物致死濃度データを用いてモデル構築を試みた。モデルの作成方法を試行錯誤した結果、251の致死濃度データ全てを用いるより、予測対象の薬物と化学構造の類似する薬物を抽出し、その抽出されたデータのみでモデルを構築した方が、予測精度の向上につながることが判明した。 この予測対象物質ごとにモデルを作り変える方法は前例のない斬新的なものであるため、24th Congress of the International Academy of Legal Medicine、TIAFT2018 Conferenceの両国際学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題である血中致死濃度予測モデルの構築法を試行錯誤したところ、従来にない斬新的な方法を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は致死濃度の基礎データとして、従来から使用されている薬物のデータを用いたが、次年度は報告されている危険ドラッグの致死濃度を精査しながらデータを集積し、活用する予定である。また、モデル構築法についても、新たな方法に取り組んでいるため様々な選択肢がある。解析結果と照らし合わせながら、最善なモデル構築法を突き詰め、論文を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析の結果と照らし合わせながら、適切な試薬などの実験消耗品及びソフトウェアを購入している。年度末にデータ解析をしたため、次年度に適切な物品を購入する計画にして持ち越した。
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