研究課題/領域番号 |
16K09202
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
船越 丈司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40444715)
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研究分担者 |
上村 公一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
秋 利彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60304474)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メタボロミクス / 細胞毒性 |
研究実績の概要 |
薬毒物による毒性機序の解明と毒性評価は法医実務上重要であるが、数多存在する薬毒物の内その毒性機序の詳細が明らかなものは少なく、また近年では危険ドラッグ成分など未だその毒性が不明な薬物も多く存在する。そのため薬毒物の毒性および機序をより簡便にかつ各薬物間での差を比較する手法の確立は法医学上急務となっている。 そこで本研究では最新のターゲットメタボロミクスの手法を用いて、薬毒物によって変動するシグナル経路を特定、さらにそれら薬毒物によって変動する代謝物の増減を数値化し毒性を評価することで、薬物間の毒性を比較し、最終的には毒性未知の薬物による細胞毒性の法医鑑定に有用な新規毒性評価法の確立を目的としている。 昨年度より当初予定していた液体クロマトグラフ質量分析器(LC-MS/MS)に加えガスクロマトグラフ質量分析器(GC-MS/MS)が使用できることになったことからGC-MS/MSでのメタボロームメソッドの構築を行っており、当該年度ではLC-MS/MS同様に各種アミノ酸・糖類・脂質など生理活性物質の測定が可能となった。 昨年までの研究では、培養細胞における覚せい剤原料エフェドリン類による細胞毒性においてコレステロールの細胞内蓄積の関与を明らかにしていたが、さらに当該年度において新規作成したメソッドでのGC-MS/MSメタボローム解析により、ノルエフェドリン刺激後に糖原性アミノ酸を中心とした糖代謝への影響を及ぼすことや、抗酸化効果を有するグルタチオン等への影響が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたLC-MS/MSでのターゲットメタボローム解析に加え、平成29年度において新規作成したメソッドでのGC-MS/MSメタボローム解析に着手しており、実際ノルエフェドリン刺激後に糖原性アミノ酸を中心とした糖代謝への影響を及ぼすことや、抗酸化効果を有するグルタチオン等への影響が明らかとなり、ノルエフェドリンの神経細胞毒性機序の一因の解析に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた液体クロマトグラフ質量分析器(LC-MS/MS)に加えガスクロマトグラフ質量分析器(GC-MS/MS)が使用できることになった。一方でLC-MS/MS、GC-MS/MSは誘導体化の必要の有無や、測定対象物によっては検出感度の違いがあることから、分析機器間でのデータの比較を行い、対象代謝物によって適宜使用機器を使い分けることを検討する予定である。 また平成30年度が最終年度となるため、当初予定していたメタボローム解析と遺伝子発現解析等を組み合わせたトランスオミクスによる細胞毒性機序の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していなかったGC-MS/MSの導入などにより、新規代謝産物測定用メソッドの作成に注力したことから当初予定していた投与試薬の購入、トランスオミクスにかかる費用を一部翌年度に持ち越したことによる。 そのため繰り越した費用に関しては、投与薬物の追加購入、トランスオミクスの解析費用に使用する予定である。
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