研究課題/領域番号 |
16K09204
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩崎 哲也 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (00722018)
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研究分担者 |
佐藤 紀子 信州大学, 学術研究院医学系, 助手 (00649254)
布谷 美弥 信州大学, 医学部, 特任助教 (10759921) [辞退]
浅村 英樹 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80324250)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アミロイドーシス / トランスサイレチン / 高齢者突然死 / SSA |
研究実績の概要 |
加速する社会の高齢化に伴い,高齢者の法医解剖が増加傾向にある。しかしながら,剖検によっても死因を特定できない急死例も少なくない。我々は,主に高齢者に見られる老人性全身性アミロイドーシス(senile systemic amyloidosis:SSA)に着目し,高齢者の法医解剖例におけるSSA罹患者及びSSAと死因との関連性について研究を遂行している。 高度腐敗例を除く60歳以上の剖検例を対象とし,剖検で採取した心筋組織に対してアミロイド染色により組織へのアミロイドの沈着の有無を確認し,陽性例については免疫染色および遺伝子検査を経た上でSSAの確定診断行い,罹患者を抽出した。陽性例では,心筋の他に肺臓、肝臓、腎臓についてもアミロイドの沈着の有無を評価した。現在までに法医解剖例440例をについて検査した結果,22例がSSAに罹患し,罹患率が5.0%であることが判明した。陽性例では,アミロイドの組織沈着が心臓のほか肺臓に全例認められた。いずれも生前にSSAと診断されていない又は既往症が判明していない剖検例である。このうち,現在までに死因との因果関係が強く示唆される事例として,直接死因が低体温症,浴槽内死亡,感染症の3事例が存在し,この3例については心筋に広汎なアミロイドの沈着が確認されている。SSAは組織検査においてもHE染色のみでは発見されにくく,アミロイド染色により確定診断される。現在までに死因に関与し得る疾病であると判断され,今後法医解剖も含め高齢者突然死の一疾患として考慮する必要が認められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり,現在までに高齢者法医解剖例440例に対してSSA罹患率並びに死因との関連性を検討しており,本年度は第101次日本法医学会学術全国集会(平成29年6月,岐阜)において研究成果を報告する予定である。そのため,研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに症例数を増やし,SSAの罹患率並びに高齢者突然死との関連性について検討するとともに,アミロイドの心筋組織への沈着及び諸臓器への沈着程度を評価し,死因との因果関係について検討する。
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