研究実績の概要 |
合成カンナビノイドBB-22 に関し2015年にヒト血漿中濃度が97 pg/mlとの報告があるが, 尿中濃度についての報告はなかった。その代謝物であるBB-22 3-carboxyindoleの定量の報告もなかった。BB-22 3-carboxyindole はBB-22の分解代謝物であるが, BB-22 (m/z = 385)の構造を保持した代謝物についての報告もなかった。浜松医大救急部における患者2名(case 1とcase 2)の血清と尿から, また警察で任意に提出された尿(case 3)を用いて上記の未報告事項に関連した高感度な分析を試みた。その結果、case 1, 2の血清濃度: BB-22 は149, 6680 pg/ml, BB-22 3-carboxyindoleは0.755, 38.0 ng/ml; case 1, 2, 3の尿濃度: BB-22 は5.64, 5.52, 6.92 pg/ml, BB-22 3-carboxyindoleは0.131, 21.4, 5.15 ng/mlであった。水解した尿中にはBB-22のcyclohexylmethylまたはindoleが水酸化した代謝物(m/z = 401)とBB-22 3-carboxyindoleのcyclohexylmethylまたはindoleが水酸化した代謝物(m/z = 274)が生成していることがQTRAP MS/MSで示唆され, また代謝物のmolecular ionとそのproduct ions の精密質量をOrbitrap MS/MS で測定したところ, 理論値との差は7 ppm以下であった。これらの結果をForensic Toxicology (2019) 37:163で報告した。
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