研究課題/領域番号 |
16K09210
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
賀川 慎一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70562213)
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研究分担者 |
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
山本 琢磨 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50634458) [辞退]
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 凍死 / 恒常性維持 |
研究実績の概要 |
凍死(低体温症)の診断は、寒冷暴露されたことで生じる左右心臓血の色調差や胃十二指腸粘膜下出血などの所見を組み合わせることで行われる。しかし、これらは主観的に捉えられる所見であることに加え、凍死以外の死因でも認められるため凍死特異的な所見とはいえず、その確定診断は難しい。 本研究は、生体の恒常性維持の分子メカニズムを明らかにし、死因究明が最も困難な病態の一つである凍死の確定診断に応用可能な分子マーカーを同定すべく、体温依存的(軽度・中等度・重度)な寒冷動物モデルを作製した。生体の恒常性維持に関連する視床下部・腸腰筋・褐色脂肪組織に着目し、次世代シークエンスを用いてこれら組織における体温依存的に発現誘導される遺伝子の同定を行った。その結果、各組織において多数の遺伝子発現が、体温依存的に変動した。これらの遺伝子群に対しGene ontology解析を行ったところ、ストレス応答や脂質応答、低酸素症への反応などのbiological processに関与していることを明らかにした。腸腰筋においては重度低体温特異的に発現変動する遺伝子が同定された。これらの遺伝子群は、重度の低体温による恒常性維持及び呼吸中枢の麻痺によってその発現が誘導され、また、凍死の確定診断を補完する新規分子マーカーとなりうる可能性が示唆された。 近年、より死後変化に耐えうる分子として、microRNA(miRNA) の有用性が提唱されてきた。miRNA は、標的 mRNA に結合し、蛋白質合成を阻害する非コード RNA である。更に精度の高い凍死診断法を確立するためには、他臓器において、寒冷暴露によってのみその発現が変化し、また死後変化に耐えうる miRNA を同定することが必要不可欠である。そこで、体温依存的寒冷動物モデルの腸腰筋において変動するmiRNAをマイクロアレイを用いて同定した。その結果、多数の miRNA が、体温依存的に変動したことを明らかにした。
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