研究課題
法医学実務において、薬毒物を簡便・迅速にスクリーニングできる免疫学的検出法は有用である。我々は、遺伝子工学的技術の利点を活かした抗薬物抗体の作製と薬物検出法構築に取り組んでいる。本課題では、二種の抗薬物抗体をモデルとし、薬物スクリーニングの目的に応じた最適な抗体を分子レベルでデザインし、機能改変した新しい抗体を用いた薬物検出法を構築する事を目的とした。本年度は、薬物と抗体の相互作用部位を解析するため、抗体と薬物の共結晶作製を試みた。1)抗原結合フラグメント(Fab)の調製抗フルボキサミンモノクローナル抗体(IgG)産生ハイブリドーマをCELLine Bioreactorを用いて無血清培地で培養し、その培養上清からアフィニティークロマトグラフィーを行ってIgGを精製した。パパインによるIgGの酵素処理を行ってFabを調製し、その後各種クロマトグラフィー(アフィニティ、イオン交換、ゲルろ過)を行って高純度に精製した。精製度の確認は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で行った。本精製にて約4 mgの高純度精製Fabを得たため、これを結晶化条件の検討に用いた。2)フルボキサミン結合Fabタンパク質の結晶化条件の検討Fabタンパク質に対して過剰のフルボキサミンを混合させ、共結晶化を試みた。結晶化は蒸気拡散法(Hanging Drop法)で行った。結晶化スクリーニングの結果、結晶化用緩衝液は20%ポリエチレングリコール4000を含む0.1Mビストリス緩衝液(pH6.0)と2.0M硫酸アンモニウムを含む0.1Mトリス緩衝液(pH8.5)で再現性良く結晶を得る事ができた。今後は結晶化条件の詳細な検討を進め、得られた結晶のX線構造解析を行う予定である。
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Drug Testing and Analysis
巻: 11 ページ: 601-609
10.1002/dta.2520