双極性障害の治療で用いられるリチウムは自殺目的での大量摂取に加え、有効域と中毒域が近接しているため慢性中毒の頻度が比較的高い薬物である。リチウムを簡便かつ迅速に検出する方法として、F28ポルフィリンキレート化合物(F28TPP)をリチウムの特異的発色剤とした色相変化による検出法の検討を行った。0 mEq/Lは緑色、0.5と1.0 mEq/L(治療域濃度)は橙色、1.9と3.0 mEq/L(中毒域濃度)は赤色を呈した。色相変化に基づく半定量値と分析機器で測定した値を比較した結果、両者は概ね良好な相関を示した。本法は法医学領域におけるリチウムのスクリーニング法として有用と思われる。
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