研究課題
C57BL/6マウスに対して、1日4時間の低酸素曝露(7%酸素、93%窒素)を行った。曝露後24時間後に、低酸素耐性を確認するために5%酸素に設定したチャンバー内へマウスを入れ、観察を行った。それぞれ、通常酸素曝露(21%酸素、79%窒素)を行った群をコントロールとした。コントロール群では、全て死亡した。一方で、低酸素曝露群では、徐々に生存率が高くなり(生存率;0日低酸素曝露群0%、1日低酸素曝露群0%、2日低酸素曝露群50%、3日低酸素曝露群83%)、4日曝露した群では、100%の生存率を確認できた。さらに4日低酸素曝露群の脳における硫化水素産生及び代謝の関与を検証するため、生体内での硫化水素産生関連タンパクである2 cystathionine b-synthase (CBS), cystathionine c-lyase (CSE), 3-mercaptopyruvate sulfurtransferase (3MST)の発現解析を行った。その結果、CBS及びCSEの発現はコントロール群と4日低酸素曝露群にて有意な差がなかったが、3MSTの発現が、4日低酸素曝露群で有意に上昇することがわかった。現在、硫化水素代謝関連タンパクの発現解析を行っている。また、短時間での低酸素曝露における影響を確認するため、東京医科大学法医学講座、吉田謙一主任教授及び前田秀将助教の指導のもと、間歇的低酸素モデル装置の立ち上げを行っている。新たに窒素発生装置を導入し、ラットモデルにおいては、90秒ごとに、マウスにおいては30秒ごとに酸素正常状態と低酸素状態を繰り返すことが可能となった。今後、間歇的低酸素の影響を検証するためのモデル開発を行う予定である。
4: 遅れている
平成28年度予算のほとんどを間歇的低酸素システムに不可欠な窒素発生装置の購入にあてた。これにより、ラット及びマウス両種において間歇的低酸素曝露を行うことが可能となった。平成29年度予算にて、間歇的低酸素曝露後のラット及びマウスの脳の変化を組織学的、分子生物学的に解析することを検討している。一方で、平成28年度途中にて申請者が東京医科大学から愛知医科大学へ所属が変更となった。間歇的低酸素システムを移動することは不可能であり、今後の実験の進め方を検討している。
間歇的低酸素曝露の影響を確認するため、低酸素の影響を強く受けると予想される脳を中心として解析を行う予定としている。一方で、これまで用いてきた間歇的低酸素システムが容易に使用できなくなったため、新たな間歇的低酸素モデルの作成を検討している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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