研究課題/領域番号 |
16K09223
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
大野 曜吉 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70152220)
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研究分担者 |
五十嵐 勉 日本医科大学, 医学部, 助手 (10421190)
奥田 貴久 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20620305)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルコール代謝 / 肝障害 |
研究実績の概要 |
本研究は、アルコール慢性摂取時のアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)の質的・量的な変化が代謝に及ぼす影響を分子生物学的に解明することを目的としている。昨年度はWT、Adh1KOマウス、Adh3KOマウスに10%エタノール水を慢性投与し、1、4、12か月で肝臓のサンプルを採取するとともに、各期において4g/kgエタノール急速投与を行い2,3,5,7,9時間におけるアルコール血中濃度を測定した。本年は以下を実施した。
【肝抽出液の作成・解析】摘出したすべての肝をホモジナイズしAdhを含む肝抽出液を作成した。肝抽出液から当教室にて作成された特異抗体を用いてELISA法にてAdh1およびAdh3の酵素量を測定した。さらにマルチプレートリーダーを用いてエタノールを基質としたAdh1酵素活性、GSNOを基質としたAdh3酵素活性を計測した。 【肝アルコール代謝にかかわるmRNA発現の計測】コントロール群、慢性投与群、急性投与群それぞれの肝Adh1, Adh3, CYP2E1の発現を計測した。mRNA計測は当教室で作成されたプライマーを用いてsyber green法にて行った。得られた結果はΔΔCT法にて解析した。 【慢性投与初期における代謝に関する解析】上記のデータより慢性投与初期におけるAdh1・Adh3の質的量的変動と代謝速度の関連を解析した。慢性投与ではこれまでAdhは代謝適応がないとされてきたが、われわれの実験結果では慢性投与群は有意に代謝速度が更新し、Adh1,3ともに酵素量が増加していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル採取は順調に行われ、タンパク解析も概ね完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
慢性飲酒における代謝および肝アルコール代謝関連酵素についての質的量的な変化について、とくにこれまではAdhは代謝適応がないとされてきたが、Adh欠損マウスを用いて実際はどうなのかを詳細に検討する。さらに、高KmAdh3のアルコール代謝における役割を規定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験助手の勤務時間が予定より少なかったのでその分謝金代が繰越となったが、
次年度も引き続き本実験を遂行するにあたり、実験助手と契約しているのでその分に充てる
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