研究課題
神経原線維変化(NFT)は老人斑とならびアルツハイマー病(AD)の主たる病理学的所見である。タウ蛋白は微小管に結合し安定化させるが、リン酸化酵素(GSK3β、Cdk5)により高度にリン酸化されると、微小管への結合能を失い、重合を開始し、NFTを形成する。我々はTet Off誘導系により野生型ヒトタウ(4R0N)を発現する神経系細胞モデルを用いた検討を行ってきた。その結果、ライソゾーム・オートファジー系(Hamano et al., 2008)、およびプロテアソーム(Hamano et al., 2009)がタウ分解に重要な役割を果たすことを見出した。また脂質異常症治療薬pitavastatinが総タウ、リン酸化タウを減少させること、またこの効果はRho-associated protein kinase(ROCK)の阻害を介するものであることを報告した(Hamano et al., 2012)。ROCKはアクチン細胞骨格の構成に重要な役割を果たすとともに、ヒトの疾患の有望な治療ターゲットでもある。今回ROCK阻害薬(H 1152、Y-27632)のタウ蛋白の重合抑制機構について細胞モデルを用いて詳細に検討した。ROCK阻害薬によりリン酸化タウは減少しており、GSK3βとCdk5、caspase3の不活性化をともなっていた。さらにタウの重要な分解経路であるオートファジー、およびプロテアソームの活性化も示唆された。最終的にタウオリゴマーの量も減少していた。同様に変異型タウ(P301L)を過剰発現するマウスモデルに対しfasudilを投与したところ、同様にリン酸化タウ、およびオリゴマータウが減少していた。以上の結果より、ROCK阻害薬はADをはじめとするタウオパチーの治療に有効である可能性が示唆された
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Acta Neuropathol Commun.
巻: 7(1): ページ: 12.
10.1186/s40478-019-0662-1.
J Neurol Sci.
巻: 399: ページ: 169-171.
10.1016/j.jns.2018.12.013.
Curr Alzheimer Res.
巻: 15(14) ページ: 1283-1296
10.2174/1567205015666181004143432.
Int J Mol Sci.
巻: 19(3) ページ: pii: E891
10.3390/ijms19030891.
Metab Brain Dis.
巻: 33(4) ページ: 1385-1388
10.1007/s11011-018-0247-x.
巻: 394 ページ: 58-62.
10.1016/j.jns.2018.09.007.
Eur Rev Aging Phys Act.
巻: 15 ページ: 18.
10.1186/s11556-018-0208-8.
Environ Health Prev Med.
巻: 23(1) ページ: 37.
10.1186/s12199-018-0721-4.
細胞
巻: 50(6) ページ: 340-343
アグリバイオ
巻: 2(8) ページ: 790-794
NEUROINFECTION
巻: 23(1) ページ: 90-97
日内会誌
巻: 107: ページ: 779-784