研究課題/領域番号 |
16K09243
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中村 久美子 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 技術専門職員 (30398052)
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研究分担者 |
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
清水 孝洋 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
清水 翔吾 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90721853)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アンジオテンシンⅡ / 心因性頻尿 / GABA / 脳 |
研究実績の概要 |
現代社会において、過剰な心理ストレスが原因により、頻尿症状を訴える人が増加しており、日常生活に支障をきたすことが問題となっている。我々は、ストレス反応に関与する脳内伝達物質の一つであるアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)が脳内AT1受容体を介して、排尿反射の惹起を誘導することを動物実験にて報告してきた。しかしながら、その詳細な分子機構は不明である。脳内γ-aminobutyric acid(GABA)神経系は、上位排尿中枢の制御に重要な役割を果たしていることが知られる。本研究では、脳内AngⅡが排尿反射を惹起する機序を解明すべく、GABA神経系への関与について検討した。研究方法として、ウレタン麻酔下(1.0 g/kg, ip)のWistar系雄性ラットに対して、GABAA受容体作動薬muscimolもしくは、その溶媒を脳室内投与30分後、AngⅡ(30 pmol/3 µL/rat)を脳室内投与した。そして、薬物の脳室内投与前から膀胱内圧測定を行うことで、排尿間隔を評価した。その結果、溶媒前処置+AngⅡ投与群では、排尿間隔の有意な短縮が薬物投与前と比べて見られた。一方、muscimol 前処置+ AngⅡ投与群では、溶媒前処置+AngⅡ投与群と比較して、AngⅡ投与後の排尿間隔の短縮が有意に抑制されていた。また、本研究で用いた濃度のmuscimol単体を脳室内投与しても、ラットの排尿間隔には、影響は見られなかった。これらの結果から、脳内AngⅡによる排尿間隔の短縮にはGABA神経系の修飾が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者と協力し、より多くの実験結果が次年度に得られるようにする。
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今後の研究の推進方策 |
脳内Ang IIが排尿反射を惹起する機序として、GABA神経系の関与を更に明らかにすべく、GABAB受容体作動薬を用いて、薬理学的な実験を行い、解析する。さらに、マイクロダイアリシス法を用いてGABA放出量を定量化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳内AngⅡが排尿反射を惹起する機序として、GABA神経系の関与をより詳細に明らかにするため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究遂行に必要な動物(ラット)、動物飼料、および投与薬物に必要な試薬・器具の購入費用に充てる。
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