研究課題
ストレス反応性脳内神経ペプチドであるアンジオテンシンⅡ (AngⅡ) が排尿反射を亢進させる機序として、脳内AT1受容体が関与することをこれまでに我々は報告した。本研究では、脳内AT1受容体下流シグナルに着目し、その機序を解明した。ウレタン麻酔下(1.0g/kg,ip)の雄性Wistar系ラットに対して、下記の薬物脳室内投与前後にて、連続膀胱内圧測定 (12 mL/h) を行った。AngⅡ (30 pmol/rat) 脳室内投与30分前に、AT1受容体遮断薬 (テルミサルタン: 3 or 10 nmol, バルサルタン: 10 nmol)、phospholipase C (PLC) 阻害薬 (U-73122: 300 or 1000 pmol)、protein kinase C (PKC) 阻害薬 (chelerythrine chloride: 300 or 1000 pmol)、NADPH oxidase阻害薬 (apocynin: 20 or 200 nmol)、抗酸化薬 (tempol: 2 or 20 nmol) または各溶媒をそれぞれ脳室内前投与した。その結果、テルミサルタン、バルサルタン、U-73122、chelerythrine chloride、apocyninまたはtempol脳室内前投与は、Ang II脳室内投与による排尿間隔短縮を抑制した。本研究によりAng IIは、脳内AT1受容体下流シグナル (PLC/PKC/NADPH oxidase/superoxide anion) 経路活性化を介し、排尿反射亢進を惹起することが示唆された。
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British Journal of Pharmacology
巻: 175 ページ: 3727-3737
10.1111/bph.14439