研究実績の概要 |
アルツハイマー病における大脳白質病変(White matter lesions; WMLs)の成因を明らかにするため、アミロイドPET陽性MCI症例を対象として血液中の血液脳関門障害マーカーおよび血管内皮障害マーカーの測定を行った。血液脳関門障害マーカーである血漿中MMP 1, 2 ,3 , 7, 8, 9, 10, 12, 13, TIMP 1, 2, 3, 4の検討では、WMLs(+)群においてMMP2, 8, 9が有意に高値であり、TIMP 1,2が有意に低値であった。従って、WMLsの成因にBBBの障害が関与している可能性が推測された。さらに、血管内皮障害マーカーとして血清中の vWF (von Willebrand factor)、KCNJ8 (potassium inwardly-rectifying channel, subfamily J, member 8)、PTPRB (protein tyrosine phosphatase, receptor type, B)を測定した。これらの因子は、WMLsの有無や重症度との関連は認めなかったが、脳内アミロイド蓄積量と相関を認めた。従って、血管内皮障害マーカーは、MCI患者における脳内アミロイド蓄積に関連している可能性が考えられた。
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