研究課題
今回我々は、閉経モデル実験を行い検討を進めることとした。培養血管平滑筋細胞(VSMC)および血管内皮細胞(HUVEC)を使った in vitro研究において、エストロゲン受容体を阻害し閉経状態を再現したところ、ミトコンドリア機能障害、ミトコンドリア由来酸化ストレス増大、Senescence-associated βGalactosidase染色の増強、p53, p21, p16, PAI-1発現の増強を認め、細胞老化が促進された。さらに免疫組織化学染色や電子顕微鏡による検討により、その要因としてマイトファジーの低下による異常ミトコンドリアの蓄積であることが明らかになった。C57BL6マウスに卵巣摘除を行った in vivo研究でも同様に、血中エストロゲン濃度の低下に伴い、血管におけるマイトファジー低下から異常ミトコンドリアが蓄積し酸化ストレス増大から血管老化が進展した。in vivo, in vitro実験ともに、エストロゲン補充によりマイトファジーは回復し、血管老化が抑制された。閉経状態再現に伴う血管・細胞内マイトファジーの低下やエストロゲン補充による回復は、Atg5やAtg7をknockdownしても観察されるものの、Rab9をknockdownにより影響を受けたことから、今回のモデルにおいて影響をうけたマイトファジーは、Atg5/Atg7/LC3非依存性でRab9依存性のオルタナティブオートファジ発現抑制が主体であり、Atg5/Atg7依存性でLC3IからIIへの変換が必須のコンベンショナルオートファジーの関与は低いことが判明した。さらに、エストロゲン低下/エストロゲン受容体阻害に伴うRab9依存性オルタナティブオートファジー由来マイトファジーの低下に、サーチュイン遺伝子ファミリーのSirt1発現低下が関与することが明らかとなった。
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