研究課題/領域番号 |
16K09252
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田中 史生 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20623292)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心療内科学 / 機能性ディスペプシア / 消化器内科学 |
研究実績の概要 |
機能性ディスペプシア (functional dyspepsia; FD) は日本人の約25%が罹患しているとされる有病率の高い疾患であり、罹患率は年率1~2%の割合で増加の一途をたどっている。その病態生理として、胃・十二指腸の知覚過敏、胃排出能低下、胃穹窿部の適応性弛緩不全など、様々な消化管機能異常が複雑に関与しているとされるが、いまだ不明な点も多く疾患バイオマーカーも同定されていないのが現状である。本研究は胃液採取を用いた低侵襲なliquid biopsyによるFDの新規バイオマーカー、診断手法の確立を目的とする。 実施方法は、大阪市立大学医学部附属病院先端予防医療部附属クリニックMedCity21の人間ドック受診者のうち、上部消化管内視鏡検査を施行し、かつ血清抗HP IgG抗体価の測定を行った受診者から回収した胃液サンプル、健診データを使用する。対象者はバイオレポジトリ構想と遺伝的解析研究に対する包括的同意が得られた受診者のみで、非同意者は対象外である。本研究課題について、本学の倫理委員会の承認が既に得られている。 H28年度の予備実験にて、胃液に含有されるエクソソーム由来のmiRNAの抽出が可能なことが確認できていた。その手法を用いて、H29年度では実際のFD患者、健常者の胃液サンプルを用いての研究を進めた。すなわちそれらのサンプルからエクソソームおよびmiRNAを抽出、microarray法を用いたmiRNAの網羅的発現解析を施行した。その結果、FDにおいて有意に発現量が変化しているmiRNAを複数見出すことが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度はおおむね順調に進展し、胃液中エクソソーム由来miRNA発現量のmicroarray、網羅的解析を施行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度はmicroarrayにて見出された候補miRNAの妥当性評価をreal time RT-PCR法にて行う予定である。その結果を踏まえ、機能性ディスペプシアにおける疾患バイオマーカーとしての有用性を探索、本研究を完結させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
miRNAmicroarrayが終了した時点で研究実施計画を再考し、以降の研究をH30年度に行う予定としたため次年度使用額が生じた。H30年度分の助成金と合算し、H30年度に今後の研究を引き続き進める予定である。
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