機能性ディスペプシア (functional dyspepsia; FD) は日本人の約25%が罹患しているとされる有病率の高い疾患であり、罹患率は年率1~2%の割合で増加の一途をたどっている。その病態生理として、胃・十二指腸の知覚過敏、胃排出能低下、胃穹窿部の適応性弛緩不全など、様々な消化管機能異常が複雑に関与しているとされるが、いまだ不明な点も多く疾患バイオマーカーも同定されていないのが現状である。本研究は胃液採取を用いた低侵襲なliquid biopsyによるFDの新規バイオマーカー、診断手法の確立を目的とした。 実施方法は、大阪市立大学医学部附属病院先端予防医療部附属クリニックMedCity21の人間ドック受診者のうち、上部消化管内視鏡検査を施行し、かつ血清抗HP IgG抗体価の測定を行った受診者から回収した胃液サンプル、健診データを用いた。 H30年度は順調に進展し、H29年度にmicroarrayにて見出された候補miRNAの妥当性評価をreal time RT-PCR法にて行った。その結果、候補miRNAの妥当性が確認され、機能性ディスペプシアにおける疾患バイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。以上のように本研究結果がまとまったため、H31年度に第105回日本消化器病学会総会 主題演題、米国Digestive Disease Week2019にてポスター発表に採択され、発表することが決定している。今後さらに論文化を行う予定である。
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