研究課題/領域番号 |
16K09254
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
畠山 修司 自治医科大学, 医学部, 教授 (40463864)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | インフルエンザ / 抗微生物薬 / 医療ビッグデータ / 感染症疫学 |
研究実績の概要 |
本研究は、インフルエンザを中心とする感染症の発生規模、受診状況、診断法、治療法、合併症、医療費などを、大規模データを用いて包括的にモニタリングし、医療負荷の実態や医療施策の効果を解析することを目的としている。インフルエンザを中心とする感染症関連医療情報を医療ビッグデータとして抽出し、抗菌薬、抗インフルエンザ薬などの症が高齢化社会に与える効果に関する大規模疫学調査としての側面も有する。大規模データを解析するためのプラットフォームの構築と手続きを完了し、インフルエンザを含む感染症病名に対する抗微生物薬の使用実態について、2つの異なるビッグデータによる疫学解析を行った。 国保および後期高齢者医療レセプトデータ(約780万の外来受診レセプト)の中から、経口抗菌薬処方のあった約70万レセプトデータを解析した。最も多く使用されたのは、第3世代セファロスポリン、マクロライド、キノロンであり、これらで経口抗菌薬処方の90%近くを占めた。付随するICD-10に基づく病名コードは、感冒、咽頭炎、気管支炎、副鼻腔炎など急性気道感染症が多くを占め(約70%)、消化管感染症/急性下痢症、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症がそれに次いだ。急性気道感染症に対する経口抗菌薬処方に関連する因子は、65歳以上よりも若年者(調整オッズ比 1.48~2.75)、500床以上の病院よりも小規模医療施設(調整オッズ比 1.71~4.24)であることも明らかになった。 もう1つのビッグデータを用いた、抗菌薬処方のあった2.6億レセプトデータの解析は、データの抽出を終え、解析の完了が目前である。インフルエンザ医療の規模、治療、合併症に関する大規模記述疫学データ抽出は、プログラミングの再構築を要したため、当初予定より遅れていたが、データ抽出の完了が目前である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模データ解析プラットフォームの整備、手続きを完了し、解析を進めることができた。2つの大規模記述疫学データのうち、1つは完全に、もう1つはほぼ解析を終えた。インフルエンザ医療に関する大規模記述疫学データ抽出については、プログラミングの再構築を要したため当初予定より遅れたが、データ抽出の完了が目前である。
|
今後の研究の推進方策 |
解析をほぼ終えている調査については、結果の公表への手続きを進める。 データ抽出がほぼ終えている調査については、抽出を完了し次第、当初の予定どおり解析と結果の公表への手続きを進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
大規模記述疫学データ抽出に関わるプログラミングの再構築を要したため、当初予定よりデータ抽出の完了と解析が遅れたこと、2件目の大規模解析結果公表手続きが想定より遅れ次年度にかかる見込みであるため、これらにかかる費用を次年度に繰り越すことにした。
|