研究実績の概要 |
平成28年度は、報告者高橋の末梢血単核球より得たγδ型T細胞にHerpes Saimiriを感染させ不死化させ、その中から限界希釈法を用いてVγ1Vδ1型TCRを発現したT細胞株クローン3-DよりVγ1及びVδ1のTCR遺伝子を採取し、TCR欠損株であるJ.RT3-T3.5に遺伝子導入しVγ1Vδ1型γδT細胞株(1C116)を樹立した。これと同様の手法を用いて、高橋末梢血より得たVγ2Vδ2型T細胞株由来、Vγ2及びVδ2のTCR遺伝子を採取し、J.RT3-T3.5に遺伝子導入しVγ2Vδ2型γδT細胞株(2C21)を樹立した。まず、これらの樹立株1C116及び2C21が、抗CD3抗体を用いてTCRをcross-linkさせるとIL-2を放出することを確認し、これらのγδ型T細胞が特異抗原刺激に伴いIL-2を放出することを確認した。そして、2C21がアルキルアミンであるiso-butylamineに応答するTCRを発現していることを確認後、これまでに報告された他のVγ2Vδ2型TCR刺激活性化物質である結核菌由来のピロリン酸(IPP)、methylamineやethylamine (Immunity, 11:57-65, 1999)、さらにはお茶由来のテアニン(PNAS, 100:6009-6014, 2003)、アミノビスフォスフォネート製剤 (Blood, 5:1616-1618, 2001)に応答することを検討した。一方、Vγ1Vδ1型TCRを発現した1C116株はこれらの抗原に全く応答しないことを確認後、天然生薬成分の中から煎じ薬(熱水抽出法)に含まれると推測される成分群であるフラボノイド、テルペノイド、アルカロイド等に着目し、それらとの共培養により1C116 からIL-2の分泌が刺激されるかを指標として刺激物質を探ったところ、応答性を有する物質が同定された。
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