研究課題/領域番号 |
16K09263
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
早坂 信哉 東京都市大学, 人間科学部, 教授 (60406064)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 入浴 / 温泉 / 介護保険 / 熱海市 / 特定健診 / 幸福度 / 睡眠 / 主観的健康感 |
研究実績の概要 |
熱海市、熱海市医師会と連携して、特定健診受診者への温泉浴・水道水入浴の状況、主観的健康感、幸福度、主観的睡眠状況、冷え症の自覚症状、および自宅への温泉配湯状況を調査し、特定健診結果とデータ突合を行い1699人分取得が完了し、データ確定ができた。また、2015年3月~2017年2月に熱海市が介護保険で認定した要支援~要介護となった者2719人についてその年齢、性別と介護情報のデータを取得した。その後、介護保険データの一部見直し、修正があったため、解析が若干遅れたが、論文化して国際雑誌へ公表を行った。 1)2015年3月~2017年2月に熱海市が介護保険で認定した要支援~要介護となった者2719人についてその年齢、性別と介護情報のデータを取得し、修正ののちデータ確定となった。本データを用いて温泉の自宅所有と介護状態の変化の関連を経年的に解析したところ、温泉を所有している家庭の高齢者では介護状態が維持または改善していることとはオッズ比1.311 (95%信頼区間:1.025 to 1.677, p = 0.036)であり有意に関連することが明らかになった。結果はComplementary Therapies in Clinical Practice 33 (2018) p142~148に掲載された。 2) 熱海市は平成29年6-7月に熱海市医師会16医療機関で特定健診を実施した。特定健診受診者へ、熱海市医師会と連携して、温泉浴・水道水入浴の状況、主観的健康感、幸福度、主観的睡眠状況、冷え症の自覚症状、および自宅への温泉配湯状況を調査し、特定健診結果とデータ突合を行い1699人分取得した。記述統計解析を行い、加えて、主観的健康感、幸福度、主観的睡眠状況と温泉の自宅利用の有無との関連を解析し、学会発表を行った。 3)関連研究報告を国内学会9回、国際学会で1回、特別報告2回(国内学会)発表した。 4)研究テーマに関連するメディア報道(テレビ出演含む)は130回を超えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.自宅での温泉利用の有無によって対象者を2群に分け、それぞれの主観的健康感、幸福度、睡眠の質の状況のスコアの平均を求め比較した。温泉を自宅で利用している者では主観的健康感、幸福度が有意に良好だった。この結果は2018年10月に日本公衆衛生学会にて発表したが、興味深い良い結果が出たため、さらに詳細な解析を加えて論文化すべく研究期間を延長した。 2.介護状態のデータセットについて修正があり、確認完了後に温泉の自宅所有と介護状態の変化の関連を経年的に解析したところ、温泉を所有している家庭の高齢者では介護状態が維持または改善していることがわかり、この部分まで2018年度に論文化したが、さらに解析を加えるため、研究期間を延長した。 3.温泉配湯情報と国保医療費データの紐づけが熱海市で困難であるとのことで、直接的な医療費との関連の解析は不可能となったが、特定健診の服薬状況から、限定的ではあるものの医療費の推定を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
温泉浴・水道水入浴の状況、主観的健康感、幸福度、主観的睡眠状況、冷え症の自覚症状、および自宅への温泉配湯状況の調査と、特定健診結果の突合したデータベースは引き続き解析を進めていく。特に介護状態と温泉配湯の関連は、解析結果は完了し、国際論文、学会にて報告済みであり、興味深い結果も得られたので、今年度は延期を認めていただいたのでさらに深く解析を行い論文化を進める。医療費データは利用が困難となったので、温泉利用と医療費の直接関連は解析できなくなったが、特定健診で服薬状況の確認はできているので、温泉の利用状況と特定健診等をより詳細に解析して医療費(推定値)との関連の解析を行うなど、別の角度からの温泉の健康への関連を解析していく。また、追加で冷え症について調査ができたので、付加的な解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね目標は達成できたものの、共同研究先からの追加でデータの一部修正があったため、解析が遅れ、論文投稿や学会発表が実施できなかったため予算執行が減った。2019年度に追加解析、論文作成及び投稿費、学会発表費用、旅費等にて予算を適切に執行したい。
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備考 |
一般向けとして主にメディア掲載情報等を公開している。
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