研究課題/領域番号 |
16K09269
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
山口 奈緒子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50380324)
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研究分担者 |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ストレス / コルチコトロピン放出因子 / CRF / 交感神経系 / 室傍核 |
研究実績の概要 |
ストレス反応は生体の防御機構である。しかし、過剰かつ持続するストレス反応は、うつ病などのストレス関連疾患の発症の契機となりうる。我々がこれまでに行ってきた一連の研究から、ラット脳内コルチコトロピン放出因子(CRF)による交感神経系活性化に、シクロオキシゲナーゼおよび一酸化窒素合成酵素を含むシグナル伝達系が関与することが示唆されている。そこで本研究は、これらのシグナル経路がストレス応答の制御中枢である視床下部室傍核において、ストレス応答調節に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 本年度は、成体雄ラットを用いて麻酔下で脳室内投与もしくはマイクロダイアリシスのためのガイドカニューレをそれぞれ頭蓋骨に固定し、急性のストレス負荷実験を行った。急性拘束ストレス負荷により、血中のカテコールアミンレベルは有意に上昇した。ストレス負荷前に各種受容体遮断薬もしくは酵素阻害薬を投与したところ、CRF受容体遮断薬の前投与は急性拘束ストレス負荷による血中のカテコールアミンレベルの上昇を有意に抑制した。平成30年度に計画しているターゲット因子の発現解析(ウェスタンブロッティングおよび免疫組織化学染色)に使用するため、本実験に供したラットから、ストレス負荷直後の灌流固定により脳組織を採取した。また、視床下部室傍核における神経伝達物質の変化を明らかにするため、ダイアリシスプローブを視床下部室傍核に挿入後、各種阻害薬・遮断薬を投与し、経時的に室傍核透析液を採取した。実験群から回収した透析液を用いて、質量分析法により神経伝達物質を定量した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、当初の計画通りに全ての実験群を作製し、ストレス負荷実験を行った。計画していたカテコールアミン分析は全て終了している。一方、質量分析計の故障のため、透析液の分析に遅れが生じている。修理により使用可能となったため、次年度に早急に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、まず前年度に採取した透析液サンプルを用いて、質量分析法により神経伝達物質の定量を行う。 以降は当初の計画に従い、成体雄ラットを用いて、慢性ストレス負荷実験を行う。麻酔下で脳室内投与もしくはマイクロダイアリシスのためのガイドカニューレをそれぞれ頭蓋骨に固定し、10日間の安定化後に慢性の拘束ストレス負荷実験を行う。前年度に急性ストレス負荷実験を行い、ストレス負荷時間の検討をした結果、1時間の拘束ストレス負荷が最も交感神経反応が大きかったため、慢性実験では1日1時間のストレスを連続して7日間行う。各種阻害薬・受容体遮断薬投与実験から血液、室傍核透析液および脳組織を採取する。前年度の急性実験の結果との比較検討のため、急性実験と同様の手順で、血液および透析液を用いてカテコールアミンおよび神経伝達物質の分析を行う。採取した脳組織サンプルは、30年度の実験開始まで-80℃にて保存する。
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次年度使用額が生じた理由 |
質量分析計の故障のため、当該年度に計画していた透析液の分析に遅れが生じ、質量分析に用いる試薬や消耗品の購入予算が残り、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度に計画していた透析液の解析を次年度に行うため、質量分析に使用する試薬および消耗品の購入に使用する予定である。
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